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【市況】米国株式市場見通し:大統領選以降の株価上昇が一服か


先週は、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案を巡る下院での投票が延期されるなど、共和党内の調整が難航したが、土壇場で同法案が取り下げられた。ライアン下院議長はオバマケアを存続し、他の政策課題に優先的に取り組むことになるとの認識を示したが、今回の法案取り下げで公約に掲げるインフラ投資、法人税制改革、規制緩和の実現性やトランプ大統領の交渉力に懸念が生じた。今後は、新政権への期待を背景とした株価上昇が一服し、政策の内容や実現時期を慎重に見極めたいとの思惑が広がるだろう。

トランプ政権下で最も恩恵を受けると考えられ、大幅上昇が続いた金融株だが、先週は大幅減税策などの審議が遅れるとの見方から下落した。しかし、FOMC 以降の年内の利上げ予想はやや拡大しており、最近では複数の地区連銀総裁が講演で年内に3回以上の追加利上げ実施を支持している。経済指標も堅調な内容が続いており、来週に発表される雇用統計を含めて、雇用情勢の力強い改善が続いた場合、再び早期の追加利上げが意識される展開となるだろう。金利上昇や規制緩和についての好材料が期待できることから、金融株は他業種に比べて投資妙味があると言える。

経済指標では、2月卸売在庫(28日)、3月消費者信頼感指数(28日)、10-12月期GDP確定値(30日)、2月個人所得・個人支出(31日)などの発表が予定されている。また、30日には中国の3月製造業・非製造業景況指数も発表される。前月の消費者信頼感指数は2001年7月以来の高水準となり、向こう6か月の期待指数も上昇したことから、好調な内容が予想される。

株式市場は需給的には買い優勢の時期に入る。アメリカでは4月15日が確定申告の期限であるが、節税目的での個人退職年金への積み立てを行ったり、還付金を投資に回すことで、資金が株式市場に流入しやすくなるからだ。4月の決算シーズンを通じて、ドル高や原油安で業績が下振れる企業が散見される可能性はある。しかし、そもそもドルや原油価格の動向が企業業績に与える影響は一時的な色彩が強いものだ。前述のようなプラスの需給要因があることも勘案すると、決算発表を受けた下落局面は買いの好機となる可能性が高そうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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