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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆相次ぐ延期で方向感得られず◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇米独首脳会談17日に、米中首脳会談4月開催へ〇

米独首脳会談が14日から17日に延期、東芝は決算発表できず社長記者会見を行う。14日にも行うとされていた英国のEU離脱通告は月内に軌道修正された。予定が彷徨えば、市場は惑う。ドルは横ばい、株式市場は小動き(NYダウは小幅安もナスダック、S&P500は小幅高)、米金利のみ上昇、10年物国債は2.6258%と、関門の2.6%台に乗せてきた。薄商いだが、FOMCでの利上げが唯一確定見込みにあるためと見られる。

メルケル首相がベルリンの空港に向かっている途中で、米北東部の大雪予報を理由に、首脳会談延期が決まったと言う。総合電機シーメンス、自動車大手BMWなど独企業トップらは延期された首相訪米に同行すると報じられているので、米側が通商問題を中心に取り上げる意向を示している可能性がある。それまでは、やや儀礼的に移民問題、中東情勢、英離脱問題(トランプ大統領は賞賛している)、対ロ問題などを総花的に話し合う印象だったが、いきなり突っ込んだ議論になる可能性も考えられる。週末は逆にドイツでG20財務相・中銀総裁会議が開催される。こちらでは為替問題や米国の税制改革まで議論される可能性がある。

一歩早く、サウジのサルマン副皇太子が13日に米国に出発、16日に公式訪問とサウジ政府が発表している。詳細は公表されていないが「相互利益に関わる地域問題を話し合う」。国王の日本、アジア訪問は友好的、経済協力の面が中心だが、中東政策の行方を見る上で、副皇太子の動向は注意が要る。新たに、4月上旬(6-7日軸)に、習近平中国国家主席をフロリダ別荘に招く計画が明らかになった。こちらは、北朝鮮問題、韓国のTHAAD問題が中心とされる。今週のティラーソン国務長官訪中(訪日韓後)の最大課題とされる。英国のEU離脱交渉(ポンド売りがやや膨らんでいる)、15日の蘭下院選挙なども気になるが、トランプ政権の最大外交課題がシリア、北朝鮮であることを示していると受け止められる。

国内要因では、東芝の行方に固唾を飲んで見守る状況が続く。ここまで混迷すると、上場廃止が現実味を増してくるので、機関投資家運用者としては年度末前に早く決着してもらいたいところだろう。原子力部門の処理策を中心に社長会見を注視することになる。

春闘のベースアップがほぼ決着の見込みで、政府の期待を下回る水準。残業時間制度の話し合いも一段落。宅配業者の共同配送など物流効率化の動きに目が向くことになる。今上天皇のご譲位問題も峠を越えてきたと見られ、予算案は衆院を通過しているので、自動的に年度内に成立する。政治的には、さらに踏み込んだ経済対策(黒田日銀総裁の任期が後1年となり、続投せずにクロダノミクスが終焉との見立てが前提で、財政政策出動=減税策が中心)で、何処まで、踏み込んだ内容になるかが焦点となる。その関連で、衆院解散思惑が再燃する可能性があるが、朝鮮半島有事懸念がネックとなる構図。

カネカが「iPS細胞大量培養新技術を開発」と発表、春の学会シーズンで技術開発が話題となり易い。期末配当取りの動きもあって、個別物色の地合いが続くものと想定される。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/14号)

《WA》

 提供:フィスコ

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