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2017年03月12日10時05分

【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆北朝鮮の強烈な不透明感◆


〇北朝鮮は強硬姿勢変えず、周辺大国不気味な沈黙〇

世界の市場が膠着感に包まれている。米国の利上げがほぼ確定の流れになり、その後の展望が見えてくるまでは、逆に材料になり難いとの見方や、米財政政策、欧州情勢など来週の展開待ちとなっていることが影響しているとの見方が交錯する。ただ、材料が無い訳ではない。1月の米貿易赤字は484.9億ドルと、約5年ぶりの高水準となった。ドル高への警戒や国家通商会議のナバロ委員長が中国、ドイツ、日本など対象国を批判する発言を行っており、通商摩擦懸念が台頭してもおかしくない状況だ。ロイターは、17-18日ドイツで開催されるG20財務相・中銀総裁会議の共同声明案から、「保護主義、通貨切り下げ反対」の文言が消えたと伝え、トランプ政権の意向が反映されてきているようだ。

ただ、他の出来事を圧し潰すような強烈な不透明感が北朝鮮情勢だ。マレーシアとは金正男暗殺事件から国交断絶、双方で出国禁止措置の応酬となり、連続のミサイル発射で在日米軍を標的とすることを表明した。米国を交渉の場に引っ張り出そうとしているとの見方が韓国など海外では優勢のようだが、実際の緊迫感は直接攻撃を準備したクリントン政権時を上回ると思われる。

ネットでは軍事・北朝鮮問題専門家による米国の軍事行動、その影響を詮索する動きが出ている。ビジネス・インサイダー誌によって、紹介されたものを見ると、1)最初の標的は原子炉、ミサイル製造施設、ICBM発射台。攻撃は巡航ミサイル、B2、戦闘機で展開される、2)北朝鮮の反撃は非武装地帯の砲撃部隊しかない。南進し、ソウルを集中的に攻めようとする、3)海上はミサイル発射能力のある潜水艦は一隻しかなく、日米が封じ込める、4)米特殊部隊投入による金正恩政権排除でも北朝鮮は戦闘を止めない。永遠の指導者は金日成、5)200基以上のミサイル発射装置を押さえるのは容易でないかも知れない、米韓などでの思わぬ犠牲拡大のリスクがある、など。金正恩排除後の体制は、金平日(金正日の弟)擁立説などが出ているが、軍事行動よりも不透明感が強い。ひと頃あった南北統一説は出ていない。

また、中国、ロシアから具体的な話や動きが出てきていない。韓国の株式、ウォン相場にも変動が見られていない。いち早く、日米首脳が「北朝鮮の脅威、新たな段階に入った」との認識で一致、2+2などの閣僚協議が加速していることと差が出ている。米軍の攻撃には中ロ韓の同意が必要と見られるため、周辺の動きをウォッチして行くことになろう。実際に勃発すれば、米財政政策や通商問題などは一時的に隠れるため、市場は固唾を飲んで、北朝鮮情勢を見守っていると考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/3/8号)

《WA》

 提供:フィスコ

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