【特集】突破のカギは「海外売上高」、好業績“円安メリット”株に照準 <株探トップ特集>
三洋化 <日足> 「株探」多機能チャートより
―主力銘柄停滞でも中小型株は物色旺盛、注目は円安恩恵の好業績株に―
7日の東京株式市場は、手掛かり材料難のなか主力大型株への物色意欲が後退したままで、全般手控えムードが強まった。方向感に乏しい地合いのなかで、日経平均株価終値は、前日比34円99銭安の1万9344円15銭で3日続落となった。主力株が冴えない半面、このところ東証2部、新興市場など中小型株の活躍が目立っている。そこで、東証1部上場の中小型株のなかから、海外売上高比率が高く円安恩恵を受ける可能性の高い好業績銘柄に注目した。
●三洋化成、中国・アジア向けにSAP需要拡大継続へ
三洋化成工業 <4471> の17年3月期第3四半期累計(16年4-12月)の連結経常利益は、124億7100万円(前年同期比21.7%増)となり、通期予想の経常利益145億円(前期比9.1%増)に対する進捗率は86%と高水準になっている。引き続き高吸水性樹脂(SAP)の需要が堅調。
同社のSAPは主にプレミアム紙おむつ向けのため、価格競争の影響を受けにくいのが特長。SAPの中国での生産能力(年産23万トン)は、全社ベースの6割強に達し、中国での紙おむつ需要拡大の恩恵を享受する。また、18年夏にはマレーシアでのSAP工場(年産8万トン)が稼働予定で、中国に続き、経済成長に伴う紙おむつの需要が拡大しているアジアの新興国でも数量拡大効果が期待できそうだ。
●扶桑化学はリンゴ酸などの果実酸類が計画上回る売上高
扶桑化学工業 <4368> は2月1日、17年3月期連結業績の上方修正を発表した。売上高348億円を356億円(前期比0.9%増)へ、経常利益83億円を95億円(同30.2%増)へとそれぞれ増額した。今期業績の上方修正は、昨年11月に続き2回目。
リンゴ酸などの果実酸類や、半導体向けシリコンウエハーのディスク面の超平滑化に活用される超高純度コロイダルシリカ、ナノパウダーの販売が好調で売上高が計画を上回ることが寄与している。
●フジミインコは半導体デバイス向け研磨剤で好採算品が拡大
フジミインコーポレーテッド <5384> は2月2日、17年3月期の連結業績について、売上高330億円は据え置いたものの、経常利益を39億円から46億円(前期比37.6%増)へと上方修正した。
シリコンウエハーや半導体デバイス向け研磨剤で好採算品の販売が伸びることが寄与している。コスト削減の進展に加え、円安進行による為替差益の発生なども上振れに貢献する。
●島精機は主力のコンピューター横編機が好調に推移
島精機製作所 <6222> の17年3月期第3四半期累計(16年4-12月)の連結決算は、売上高405億4500万円(前年同期比27.7%増)、経常利益49億4000万円(同57.1%増)と大幅な増収増益を達成した。
同社は昨年10月19日、当時の円高進行を受けて前提為替レートを1ドル=102円に見直し、17年3月期の経常利益を従来予想の110億円から80億円に下方修正した経緯がある。
一方で、主力のコンピューター横編機が好調に推移しており、このまま足もとの円安状態が維持されると、通期業績の大幅上方修正が濃厚となってくる。
●信越ポリマーは精密成形品拡大が貢献し3Q進捗率は95%に
信越ポリマー <7970> は電子デバイスおよび樹脂加工を手掛けるが、半導体市場の拡大を背景とした設備投資需要を取り込み利益は好調な伸びを確保している。同社が1月26日に発表した17年3月期第3四半期累計(16年4-12月)の連結決算は、経常利益が47億6800万円(前年同期比36.4%増)と高水準な増益となった。
通期経常利益は50億円(前期比10.3%増)を予想しているが、第3四半期時点での進捗率は95.4%に達した。半導体シリコンウエハー出荷・搬送用ケースや、シリコンゴムを主材料としたOA機器用部品などの精密成形品事業の拡大が寄与している。
◆主な高海外売上高比率の好業績銘柄◆
銘柄 <コード> 海外売上 経常 株価 PER
比率 増益率
扶桑化学 <4368> 36.1 30.2 3145 17.2
三洋化成 <4471> 40.5 9.1 4675 10.6
マンダム <4917> 42.3 6.5 5270 24.6
フジミンコ <5384> 74.5 37.6 2390 17.9
丸一鋼管 <5463> 37.9 30.9 3540 17.3
島精機 <6222> 83.5 76.5 3910 24.5
やまびこ <6250> 64.8 10.9 1456 28.6
キッツ <6498> 31.7 13.7 775 16.0
EIZO <6737> 46.0 7.1 3285 15.9
日信工業 <7230> 85.5 55.3 2019 37.5
ブイ・テクノロジー <7717> 87.5 2.1倍 1万6070 33.2
マニー <7730> 74.5 11.6 2567 24.9
フジシール <7864> 43.3 25.0 2304 22.2
信越ポリマー <7970> 46.0 10.3 801 19.3
※株価は7日終値、単位:%、円、倍
※経常増益率は今期予想
※海外売比率は、決算短信、有価証券報告書などの資料から算出
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