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【経済】【中国】中国自動車勢が海外進出加速、PSAのオペル買収にも関与か


中国の自動車メーカーが海外でM&A(合併・買収)攻勢を積極的に仕掛けている。近年の成長が目立つ浙江吉利控股集団(吉利汽車175/HKの親会社)は、マレーシアの同業プロトン・ホールディングスの買収に意欲。競売参加を通じて、同社株51%以上の取得を目指している。また、仏PSAプジョー・シトロエン・グループによる独オペル(米自動車大手ゼネラル・モーターズ傘下)買収計画にも、その背後に中国企業の存在が指摘される。PSAの3位株主である東風汽車集団は、PSAによる同買収を支援する立場。欧州市場参入の足掛かりにしたい考えという。北京青年報がこのほど伝えた。

吉利はすでに数年前からプロトンに接触。プロトン傘下の英スポーツメーカーであるロータス・カーズの買収を狙っていたものの、同計画は失敗に終わった経緯がある。今回はロータスのスポーツカー技術だけでなく、プロトンが東南アジアと欧州に擁する資産と市場を一括取得する狙いだ。販売拡大を急ぐ吉利は、傘下ボルボと共同開発した「博瑞」と「博越」の自社2モデルの技術と引き換えに、プロトン株を取得することも視野に入れているとされる。

プロトン株を巡っては、PSAも競売参加の意向を示している。PSA関係者は、「プロトンを傘下に収めて、東南アジア市場への輸出ルートを確保する目的がある」と発言。現地向け廉価車の販売などを検討していることを明らかにした。

中国のある合弁自動車メーカー技術者は、「ここ数年の中国自主ブランド勢の台頭に合弁ブランドは脅威を感じ始めている」と指摘。「生産能力を急ピッチに拡大させるなか、自主ブランド勢は海外市場開拓を今後さらに加速させる」との認識を語った。

政府の後押しで1983年に設立された国営メーカーのプロトンは、1990年代に英スポーツカーのロータス・カーズを買収。2000年代初頭まで国内シェア5割強を確保するなど、文字通り“絶頂期”にあった。しかし、近年は輸入車などとの競争激化でシェア低下を強いられている。経営の抜本的な立て直しを目指し、16年6月から合弁パートナー探しに着手。今年1月に行われた記者会見で、プロトンのファード・ケナリ最高経営責任者(CEO)は、「4月から今年半ばにかけて、戦略パートナーを決定する予定」と説明した。

一方、1986年に発足した吉利控股は、97年に自動車事業に新規参入。2010年8月、米フォード傘下のボルボ・カーズを18億米ドルで買い取った。傘下の吉利汽車は中堅の民間自動車メーカー。中小型車に強みを擁する。


【亜州IR】

《SK》

 提供:フィスコ

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