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【経済】【中国】アリババが百聯と戦略提携、ネット・実店舗融合の「新小売」展開


電子商取引(EC)中国最大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)は20日、上海市政府系の小売大手である百聯集団と戦略的提携関係を結んだ。サプライチェーンや決済システムなどの面で協業するほか、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)など次世代技術を活用したサービスを共同で開発する方針。一連の取り組みにより、アリババが「新小売」と呼ぶ、オンライン(インターネット)とオフライン(実店舗)を融合させた新たなビジネスモデルを展開していく考えだ。

今回の提携により、アリババは百聯が擁する百貨店やスーパーマーケットなど4700カ所余りの実店舗を自社の事業ネットワークに取り込むことが可能となる。アリババはこれまで、家電量販の蘇寧雲商(002024/SZ)、百貨店の銀泰商業(1833/HK)、スーパーの三江購物(601116/SH)とも提携関係を結んでおり、これら3社を加えると、そのオフライン拠点数は約6000カ所に達する計算だ。

アリババの馬雲(ジャック・マー)主席は過去に、「Eコマースそのものが古い概念になりつつある」とコメント。今後はオンライン、オフライン、物流をすべて融合させたものが小売業界の一般的な形になっていくとの認識を示していた。この考えに沿う形で、2015年に蘇寧雲商と資本・業務提携を締結した後、16年11月には三江購物への出資を発表。直近では今年1月、銀泰商業の全面買収することを明らかにしている。

実店舗を擁する小売会社は、物流の面で優位性が大きい。これら小売会社と提携することで、アリババはO2O(オンライン・ツー・オフライン)ビジネスの効率を最大化できる可能性があるとみられる。

なお、提携先の百聯集団は上海市政府系の大型企業で、百貨店やスーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモールなど各種小売業態を展開するほか、倉庫・物流事業も手がける。傘下には、聯華超市(980/HK)、上海百聯集団(900923/SH)、上海物資貿易(900927/SH)などの上場企業を擁する。

一方のアリババは、「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」などネット通販サイトを展開。傘下サイトの総取引額(GMV)で中国首位を誇る。近年は業容拡大と多角化を推進。16年4月に、動画配信サイト大手の優酷土豆を完全買収。海外事業では16年4月に東南アジアのネット通販大手「ラザダ」の買収を発表、5月にソフトバンクとクラウド事業の提携を決めた。


【亜州IR】

《SK》

 提供:フィスコ

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