【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:トランプ議会演説、イエレン議長講演、自民党大会
NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限19400-下限18900円
来週はトランプ大統領による議会演説が、まずは相場の変動要因になろう。議会演説の内容のほか、これを受けた米株式市場の動向に振らされそうである。足下でNYダウは11営業日続伸で最高値を更新する一方で、高値警戒感から急落リスクを警戒する向きはある。ただ、日本株市場についてはこれを警戒した中でのこう着で、議会演説を受けて乱高下となったとしても、織り込み済みとしてアク抜けが意識されよう。
一方でトランプ大統領の「米雇用を取り戻す」に向けた政策等が好感される可能性はある。ただし、自国優先のなか、競合企業にとっては不透明感につながりやすい。さらに米国の核戦力増強に積極的な姿勢を示していることは、不安要因になるだろう。米国市場の下げに対する連動性は高まる一方で、上昇局面においての相関性は薄れそうだ。
また、今週は3月1日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されるほか、イエレンFRB議長の講演が3日に予定されていることから、米国の3月利上げへの思惑が再び強まる可能性もあり、金利動向やこれを受けた為替動向などを睨みながらの相場展開になろう。日経平均は相当煮詰まり感が台頭しており、横ばい推移ではシグナルが悪化傾向をみせてくる。24日の米国市場ではNYダウが11連騰となるなか、シカゴ日経225先物は19200円を下回っている。これにサヤ寄せする格好から、週初は弱含みの展開となり、トランプ大統領の議会演説待ちとなる。この時点でシグナルは悪化するため、売り仕掛け的な動きには警戒しておきたい。
翌週にはメジャーSQを控えているほか、それを通過すると期末要因からより動けなくなるだろう。タイミングとしてはもち合いレンジの上放れに期待したいところだが、調整が長引く可能性もあり、物色の流れとしては個人を主体とした中小型株での値幅取りが中心になりそうである。なお、名実共に3月相場入りとなることから、ややフットワークは軽くなりそうである。
トランプ大統領の議会演説後の米株急落リスク等を過度に警戒している面もあり、アク抜けが意識される局面において、もち合いレンジを上放れてくるようだと、ショートカバーを交えた本格的なリバウンド相場に移行する可能性はあるだろう。5日からは中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する。中国の政策期待等が支援材料になりそうだ。
その他、自民党は、2017年の定期党大会を3月5日に開く。9月に自民党総裁2期目の任期満了を迎える安倍首相について、5日の党大会で連続3期9年に正式に延長される見通しである。改めてアベノミクスへの期待から、外国人投資家をひきつける動きが意識されそうだ。第4次産業革命と呼ぶべきIoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等による技術革新は、新たな成長フェーズに移行するための鍵となると期待されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円はやや弱含みの展開になりそうだ。トランプ米大統領は就任後初の議会演説を28日に行う。その場で具体的な経済政策などが提示されるとみられているが、市場の高い期待に十分応えることができる内容かどうか、慎重な見極めが必要になりそうだ。また、3月14-15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が経済、インフレ見通しについて慎重な見解を表明した場合、3月利上げ観測は大幅に後退しドル売りを促す要因となるだろう。
■来週の注目スケジュール
2月27日(月):ユーロ圏景況感指数、米耐久財受注、米中古住宅販売成約指数など
2月28日(火):鉱工業生産指数、米GDP改定値、トランプ大統領演説など
3月 1日(水):中製造業PMI、独雇用統計、米ISM製造業景気指数、ベージュブックなど
3月 2日(木):欧生産者物価指数、米新規失業保険申請件数など
3月 3日(金):中財新総合PMI、ユーロ圏小売売上高、イエレンFRB議長講演など
3月 5日(日):自民党大会、全人代など
《TM》
提供:フィスコ