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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆比較的、谷間の週◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇トランプ攻防、分岐点か〇

本日はプレジデント・デ?で米市場はお休み。先週末は3連休前のポジション調整と見られる方向感の無い動きだった。トランプ政権発足1ヵ月、大統領選当選から約100日を経過し、一つの分岐点に差し掛かっている。ハネムーン期間と言うより、「トランプ信仰」と呼ばれる展開となっている。曰く、「ホワイトハウスが混乱に陥っているにも拘らず、トランプ転換(アニマル・スピリット復活)を賞賛し、株価は最高値を追う」。

世界の主要国株は昨年、2月(ドイツ銀危機)と6月(ブレグジット)に安値を付けた。位置取りは微妙に異なるが、いわゆるW底形成。最近の株価上昇はトランプ大統領誕生の11月からカウントされることが多いが、この安値水準から見ると、米株も懸案の多い仏株も30-35%程度の上昇に収まる。やや出遅れの日経平均も下値を15000円と見ると、3割高で19500円。ソコソコの位置にいる。「3割高下に迎え」の格言通りであれば、これもまた分岐点にいることを示唆する。

通例、悲観論の方が理詰めだ。いわゆる「整然と間違う」。大別すると、足元の米景気好調は金融緩和のお陰で、今それが曲がり角にある、米強気相場は9年目を迎えつつあり長過ぎる、入国制限での混乱以来、政策は空白状態にある、と言った主張がなされている。一方、肯定派は、8年間の悪夢から目覚めつつある、企業マインドが転換しつつある、強いアメリカは復活する、など、やや抽象的。大半は市場の流れに付こうとする姿勢だ。

それらを念頭に、今週の予定を見ると大きなイベントは無い。強いて挙げれば欧州情勢が焦点。ペンス副大統領が欧州を訪問し、英議会でEU離脱法案の審議が始まり、仏大統領選の受付が始まる。米国では、トランプ大統領が新たな入国規制を発表する可能性があり、やや沈静化したが3月利上げ攻防が綱引き材料になる可能性がある。全体に大きな流れがない場合は、個別評価、個別物色中心の展開に向かうと考えられる。

産業界の一つの注目点はM&A。17日表面化した米クラフト・ハインツによる英蘭系ユニリーバの1430億ドル(約16兆円)買収案件は撤回された(先週末、両者の株価は急伸していたので反落が予想される)が、このところ産業・事業見直しの動きが活発だ。日本では東芝関連以外にも、富士電機?富士通の持ち合い解消、オリンパスとテルモの資本提携解消、キリンとコカ・コーラ提携頓挫、日立と三菱重工の訴訟、東電・中部電の火力統合など様々な動きが出ている。欧州で仏独伊が欧州委員会に対し、対EU海外投資規則の見直しを要求している。技術漏出で中国が念頭にあるようだが、仏プジョー?独オペル合併では雇用確保が大きな焦点になっている。新規M&A案件より、既存のM&A成果を問う流れに向かうのか、事業の選択と集中を歓迎するのか、個別の評価を注目したい。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/20号)

《WA》

 提供:フィスコ

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