【経済】東芝問題では日本市場のガバナンスが問われている
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の日経平均株価は、過去最高値を更新し堅調な推移となっている米国ダウ平均株価とは対照的に軟調な展開となった。その原因のひとつが東芝問題と考えられる。東芝は14日に予定していた決算発表の延期を決めた他、半導体事業の売却先延ばし方針を固めたことで、3月末の債務超過が回避できなくなり、東証2部降格が必至の情勢となっている(=日経平均構成銘柄からも外れる)。東芝株が大幅に下落することにより、需給的に日経平均株価が弱含んだという面がある。
ただ、最近の原子力事業の巨額損失問題で忘れられているかのようだが、東芝の不正会計問題はかなり前から問題となっており、昨年には巨額粉飾が明らかとなっていた。東芝のガバナンス欠如の問題は今に始まったことではなく、現在進行形で次から次に驚くべき実態が明らかになっている。今回の決算延期の原因のひとつに、決算に関する不適切な対応が内部通報により指摘されたことが挙げられている。さらに、液化天然ガス(LNG)事業の巨額損失の可能性も指摘されている。
東芝問題に対する当局や東証の対応は鈍くかつ緩すぎたのではないだろうか。同じく粉飾で問題となったライブドア事件では東京地検特捜部がいきなり捜索に入り、逮捕者が出たのとは対照的である。
日経平均が弱含んだのは、東芝単体の問題だけではなく、日本の当局・証券取引所の姿勢や日本市場全体のガバナンスに対する海外投資家等の不信感も原因と思われる。
《YU》
提供:フィスコ