【経済】【中国】「ロス電力」の問題深刻化、甘粛省で風力エネルギー43%浪費
「棄電」(ロス電力)の問題が中国で再びクローズアップされている。2016年も発電設備の稼働を停止し、送電量を制限する「棄風限電」「棄光限電」「棄水限電」などが頻発した。政策の後押しでクリーンエネルギー発電容量が拡大する一方、送電インフラの整備が追い付いていないためという。中国経済網が8日に伝えた。
国家能源局の統計によれば、風力エネルギーを無駄にする「棄風」は、2016年通年で甘粛省が全体の43%、新彊ウイグル自治区が38%、吉林省が30%、内モンゴル自治区が21%など。太陽光エネルギーを無駄にする「棄光」は、西部エリアで平均20%に達したという。送電網の整備は、遅れが目立っている。
しかしながら、政府は再生可能エネルギーの開発に注力する方針だ。中国は国際社会に対し、一次エネルギー消費に占める非化石の比率を公約したため。2020年の約15%、30年の約20%を目指す計画を打ち出した。非化石エネルギー電源の発電容量に関しては、20年で7億7000万キロワット(kW)にまで拡大させる必要がある。15年末と比較し、2億5000万kWも増やさなければならない計算だ。
国家発展改革委員会が先ごろ発表した「再生可能エネルギー発展の第13次5カ年計画」によると、中国政府は第13次5カ年計画の期間中、総額2兆5000億人民元(約40兆9700億円)を再生可能エネルギーの発展に投資する。
この投資額は、前5カ年計画を39%上回る規模。うち水力に5000億人民元、風力に7000億人民元、太陽光に1兆人民元を投入する計画だ。発電容量については、水力で約6000万kW、風力で8000万kWの新設を進める。
15年末時点の再生可能エネルギー発電容量は、水力で3億2000万kW、風力で1億2900万kW、太陽光で4318万kWに達し、いずれも世界最大級の規模。再生可能エネルギーの発電量は1兆3800億kWhで、電力消費量の25%を占めた。
【亜州IR】
《SK》
提供:フィスコ