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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 薄氷を踏む局面が続くか

株式評論家 植木靖男

「薄氷を踏む局面が続くか」

●トランプ政策の「影」が浮上

 新年の株式市場は、16年に続いて早くも乱気流が頻発しそうな様相をみせている。

 16年6月1万4952円を安値とした上昇相場は、12月中旬に予想通り賞味期限を迎え、折り返しに向かったかにみえた。だが、新年大発会になぜか急騰、12月の高値を更新してしまった。異例のことである。多くの投資家はこの上昇に惑わされてしまい、先高感を募らせてしまった。

 しかし、この高値は夢、幻と気づかされるのに時間はかからなかった。

 大発会を含め3日間の値動きはその年1年間を暗示するとの伝説的ないわれがあるが、今年は1勝2敗となった。16年は3連敗となり、16年前半相場は惨憺(たん)たる展開になったことは記憶に新しい。

 昨年ほどではないにしても当面は厳しい局面があってもおかしくはない。

 賞味期限が切れたものを食したが故に、下痢症状を起こしたとの印象を受ける。

 屁理屈を言えば、折しもトランプ新大統領の初の記者会見で政策への過大な期待が剥げ落ちたといえる。これまでのトランプ政策の光の部分が暗転して影の部分が浮上してきた感がする。

 もうひとつ、為替だ。強烈な円高である。一気に1ドル=113円台にまでドル安が進んだ。日本株にとって、これはいただけない。

●十分な値固めが必要か

 さて、今後の展開はどうみたらよいのか。その前に、本来の投資を考える基本中の基本であるが、株価がどう動くのかを予想するよりも、まずは現在の大きな変化にどう行動するのかという対応能力が問われる。これが順序だ。

 市場から逃げるべきか、留まるべきかが先であろう。

 とはいえ、先行きが気になるのは誰しも同じ。あえて予想すれば、下痢症状であればお腹の中のものを出し尽くせば、すっきりするのが道理。

 それにはどのくらい時が必要か。16年6月からの上昇期間が下痢を起こすほど長く続いただけに、1~2ヵ月は要するのではないか。

 1月20日のトランプ新大統領の就任演説では、記者会見では触れなかった巨額のインフラ投資や大幅減税についてより明確かつ具体的な政策が強調されることで新たな株価浮上を期待する向きも多い。果たしてどうか。中途半端な戻りは、かえって調整を長引かせることもある。

 とにかく、ここは十分な値固めが必要と思われる。世界経済の方向性は明るいだけにお腹がすっきりすれば株価が再浮上することは間違いなさそうだ。

2016年1月13日 記

株探ニュース

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