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【特集】時代の要請、サイバー攻撃対応“9兆円市場”の「精鋭株」 <株探トップ特集>

FFRI <日足> 「株探」多機能チャートより

―トランプ記者会見で再確認、いま注目すべき銘柄群―

 あらゆるものがインターネットとつながるIoT時代の到来が本格化している。つれて、我々のリアルな日常でもサイバー犯罪に晒される可能性が高まっている。パソコンだけでなく、一般家庭の電化製品やオフィス機器などもオンライン化されることで、ウイルス感染による被害も鼠算的に拡大していく危険性をはらむ。その対策が急務だ。

 一方、最近では海外からの政府機関へのサイバー攻撃も際立つようになり、これに対し国家レベルでも喫緊の課題として対応が迫られる状況となってきた。株式市場では、サイバーセキュリティーが重要テーマとして改めて認知され、関連銘柄の株価を強く刺激し始めた。

●対岸の火事ではないロシア、中国からの脅威

 現地時間11日、世界の注目を集めたトランプ次期米大統領の記者会見で、ロシアが米大統領選にサイバー攻撃を仕掛けたとされる問題について問われると、トランプ氏は「ハッキングはロシアだと思う」とその関与を認めたほか、中国など他国の攻撃の可能性についても言及した。サイバー攻撃を防御することへの重要性が改めて世界に発信された瞬間といってよい。これを受けて東京株式市場では、FFRI <3692> [東証M]、ラック <3857> [JQ]、セキュアヴェイル <3042> [JQG]、テリロジー <3356> [JQ]、ソースネクスト <4344> 、トレンドマイクロ <4704> 、デジタルアーツ <2326> 、アズジェント <4288> [JQ]などサイバーセキュリティー関連株が軒並み動意含みの展開となった。

 サイバー攻撃に伴う個人情報流出件数は近年急激な増加をみせている。その規模も2013年頃から拡大が顕著であり、旧ソ連圏における闇市場でのデータ販売を目的とするケースが主流といわれている。また、政府機関や政党などへの政治的な背景を持つ攻撃も頻繁化しており、官民を問わず、企業や団体にとってサイバー犯罪は経営や運営面に深刻な打撃を与える最大のリスクとして対応が必須となっている。

フィンテック自動運転などの裏側のリスクに対応

 経済産業省はサイバーセキュリティーの重要性認識と取り組み加速のために「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」などを打ち出している。サイバーセキュリティーの世界市場は、一部試算では昨年時点で9兆3000億円を超える規模と推計され、今後も年率1割弱のペースで成長していく可能性が高い。

 人工知能(AI)の開発加速に加え、フィンテック自動運転などのIT分野の技術革命は我々の日常に多大な有益性をもたらす一方、その裏側では常にサイバー犯罪の懸念が潜在していることも忘れてはならない。サイバー犯罪の対処を強力かつ迅速に推進していかねばならない状況下にあって、東京株式市場においても関連銘柄のビジネスチャンス拡大が強く意識され、それはすなわち株価の先高期待を醸成することになる。

●輝きみせるFFRI、実力派のラックも要注目

 そのなか、標的型攻撃に対応するFFRIは、ヒューリスティックエンジンにより未知のウイルスを検知する技術で先駆、その技術力は高く評価されている。昨年12月中旬に6連騰で株価水準を一気に38%も上昇させるなど、人気化した時の足の速さは折り紙付きで、個人投資家の注目度は高い。そのスター性は関連銘柄の中でもピカ一だ。

 また情報セキュリティー構築や24時間有人対応監視サービスなどで強みを持つセキュアヴェイルも昨年12月から今年の年初にかけて急速な上値追い態勢をみせている。15年7月には高値1733円まで買われた実績があり、品薄で値運びの軽さに期待が大きい。

 企業や官公庁の情報ネットワークへの不正アクセスへの対応や情報漏洩防止で高い実績を有するラックは、同テーマでは関連最右翼といってよい実力を持つ銘柄だ。業態を考慮した場合、PER20倍前後の水準は割安感があり、テクニカル的にも13週移動平均線を下支えとする上昇トレンド継続に無理がない。業績も11年3月期以降、営業利益段階で前3月期まで6期連続の増益を確保するなど成長路線を走り続けている。

●瞬発力に富むソースネクスト、トレンドマイクロはAI活用で飛躍

 テリロジーは法人向け情報セキュリティー製品の販売を手掛けており、下値切り上げ波動が鮮明だ。昨年11月にはイスラエルの元軍関係者が設立したスレットインテリジェンス(脅威情報)のエキスパート集団であるKELA社と販売代理店契約を締結したことを発表している。

 ソースネクストはパソコン用パッケージソフトを手掛けるが、業績好調でPERにも割高感はない。出来高流動性に富み、株価の瞬発力も高いことで個人投資家を中心とする短期資金の物色人気が高い。直近では無料Wi-Fiスポットをはじめとするネットワーク上の安全を確保する個人向けのVPNソフト「Wi-Fiセキュリティ」を手掛け、KDDIの「auスマートパスプレミアム」に今月20日から提供することを発表、これが投機資金の琴線に触れ活況高を演じた。

 トレンドマイクロは「ウイルスバスター」で有名であり、法人向け、個人向けともに高シェアを掌握、時価総額も6000億円を超える情報セキュリティーの中心的銘柄だ。AIを活用した企業向けウイルス対策ソフトを今月から投入、年間売り上げ200億円が目標だが、将来的にもAI技術の活用が同社の成長エンジンとなりそうだ。

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