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【市況】S&P 500 月例レポート ― 踊るトランプ氏、宴を謳歌した米投資家 (2) ―


(1)から続く。

●年間上昇率トップはエネルギーセクター

 2016年の各セクターの動向を振り返ると、11セクターのうち10セクターで年間騰落率がプラスとなりました。騰落率最下位はヘルスケアセクターで年間下落率は4.36%でした(大統領選挙後は0.95%上昇)。バイオ医薬品や処方薬の高い薬価をほとんどの人が非難対象としたからです。

 借入レバレッジが拡大している不動産セクターは騰落率がマイナスになるのをギリギリで回避し、年間騰落率は0.005%のプラスとなりました。金利が上昇し、こうした傾向が今後も続くとの見方が背景にはありました(とはいえ、金利は引き続き比較的低水準にあり、同セクターにとっては脅威ではなく費用)。

 騰落率首位は年間上昇率23.65%を記録したエネルギーセクターでした。原油価格が2015年終値の37.06ドルから45.4%上昇して53.89ドルとなったことが追い風となりました。ただし、エネルギーセクターは2014年末の水準を依然として5.47%下回っています。

 金融セクターも大統領選挙後の相場上昇のけん引役となりました。トランプ氏の勝利によって金融規制とTBTF(大き過ぎて潰せない)指定基準の緩和が進むとの期待感から選挙後に16.51%上昇し、年間騰落率は20.14%に達しました。2016年2月11日に株式市場が年初来安値を付けた当時の金融セクターの年初来騰落率は17.67%のマイナスでしたが(S&P500は同10.51%のマイナス)、その後に金融セクターは45.92%値上がりしたことになります。

 銘柄ベースでも株価上昇のすそ野が大きく拡大しました。年間騰落率がプラスとなった銘柄は362銘柄となり、そのうちの262銘柄が10%以上値上がりし(2015年の139銘柄から増加)、さらに159銘柄が20%以上値上がりしました(2015年の45銘柄から増加)。値下がりした銘柄数も2015年の282銘柄から141銘柄に減少し、そのうち10%以上値下がりした銘柄数は69銘柄(2015年の104銘柄から減少)、20%以上値下がりした銘柄は31銘柄となりました(2015年は120銘柄)。

 過去の1月相場の動きをみると、62.5%の確率で株価は上昇しています。月間騰落率がプラスとなった1月の平均上昇率は4.15%、マイナスとなった1月の平均下落率は3.96%となっており、これまでの1月の月間騰落率の平均は1.11%の上昇となっています。2017年1月には新議会がスタートした後に、新大統領が就任し、経済に対するアプローチも刷新され、70%の企業が決算報告と業績見通しの発表を行う予定です。

 意地の悪い言い方をするつもりはありませんが、2016年1月は散々な月でした。年明け初日に相場は1.53%値下がりし、その週だけで5.96%という過去最悪の下落を演じました。こうした流れは2月に入っても続き、2016年2月11日には年初来騰落率が10.51%のマイナスに達しました。

 足元では相場に対する楽観的な見方が広がっていますが、果たして2017年1月に相場はどのように動くのでしょうか? その答えはもうすぐ分るでしょう。どうぞ良い休暇をお過ごしください。そして新しい年の株式投資での健闘を願っています。

「踊るトランプ氏、宴を謳歌した米投資家 (3) 」に続く

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