【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:イタリア国民投票、トランプ政策、IPO人気
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限18700-下限17900円
来週は雇用統計のほか、イタリアの国民投票の結果を受けたスタートになろう。雇用統計については、農業分野以外の就業者数は、17.8万人増、失業率は4.6%と、9年ぶりの低い水準に改善した。市場予想の18万人増を若干下回っているが、連邦準備制度理事会(FRB)が今回の雇用統計を踏まえ、12月13-14日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)において1年ぶりに利上げを行う条件が整ったという見方が大勢を占めている。
イタリアの国民投票では、波乱の展開も意識されるが、市場ではブレグジットとドナルド・トランプ氏の次に来るのはイタリアとの見方もされていた。既に警戒感が強まっているなかではあるが、結果を受けた日本市場のマーケットインパクトは相当大きいとみられるほか、その後も週明けの欧米市場の反応を見極めるなか、予想されているとはいえ、週前半は波乱の展開が待ち受けていそうだ。
イタリア国民投票が通過し、市場の落ち着きがみられるようだと、改めてトランプ政権に対する期待等から物色意欲が強まることになろう。翌週のFOMCで利上げ実施となり、円相場のドル高・円安、減産合意でまとまった原油相場の安定を背景に、年末相場に向けた先高観が強まるとみておきたい。
日経平均は先週の上昇で目先的なピーク感は意識されている。しかし、これといった押し目がない状態が続いており、押し目買い意欲は強いだろう。海外勢は3週連続での買い越しとなるなど、日本株買いへの基調は変わっていない。逆日歩銘柄の増加など、需給面では上へのトレンドが出やすいと考えられ、イタリア・ショックの局面があるようなら、押し目買いの好機となろう。
先週はメガバンクの強い値動きが目立っていたが、トランプ政策に対する期待等が強まるなか、引き続き市場の関心を集めやすいだろう。その他、トランプ氏の「大成長路線」を背景としたインフラ関連への物色も意識されよう。来週のFOMCでのロケット点火を意識したエネルギー充填の週といったところか。
なお、IPO関連では、12月7日にイントラスト<7191>がマザーズへ、8日にグッドコムアセット<3475>がジャスダックへ新規上場する。イントラストは家賃債務保証などの総合保証サービスを、グッドコムアセットは投資用マンションをそれぞれ展開しているが、足元のIPO人気に乗ってしっかりした初値形成となりそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円はやや底堅い動きを見せることになりそうだ。今月13-14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げ決定が見込まれている。11月の平均時給は前月比で低下したが、雇用の拡大は続いており、2017年も利上げ継続の公算は大きいことから、日米金利差の拡大を意識したドル買い・円売りは継続する見込み。
また、トランプ次期政権が計画している経済・財政政策への市場の期待は持続しており、インフラ投資拡大や大型減税などの景気刺激策によって米経済成長率はさらに高まるとの見方も後退していない。2017年以降に利上げペースはやや速まるとの思惑が広がった場合、ドル・円は今年2月以来となる120円台への上昇が視野に入る可能性がある。
■来週の注目スケジュール
12月 5日(月):消費動者態度指数、中財新総合PMI、ユーロ圏総合PMI改定値など
12月 6日(火):車名別新車販売、ユーロ圏GDP確定値、米貿易収支など
12月 7日(水):景気動向指数、独鉱工業生産、米MBA住宅ローン申請指数など
12月 8日(木):GDP改定値、東京オフィス空室率、米消費者信頼感指数、中貿易収支など
12月 9日(金):法人企業景気予測調査、中消費者物価指数、米卸売売上高など
《TM》
提供:フィスコ