【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 肝要なのはトレンド(方向性)を確認すること!
株式評論家 杉村富生
「肝要なのはトレンド(方向性)を確認すること!」
●年末年始にはPER16倍水準を目指す!
これは改めて述べるまでもないことだが、株式投資において肝要なのはトレンド(方向性)の確認である。現在の相場(日経平均株価)は6月24日の1万4952円をボトムに、反騰態勢に入っている。テクニカル的には11月8日前後、1万7500円がらみの水準が目先の転換点(正念場)になろう。
10月26日には1万7391円のザラバ高値があった。この水準の予想PERは14.64倍(予想ベースの日経平均株価のEPSは1187円)となる。筆者はかねて、10月下旬~11月初旬にPER15倍水準の1万7800円、年末年始にはPER16倍水準の1万8990円を目指す、と主張してきた。現状はほぼ予想通りの展開である。
ここでの一服(高値もみ合い)はやむを得ない。しかし、これで終わる反騰劇ではない。幕は下りない。多少の“休養”はあっても11月8日のアメリカ大統領選挙、11月30日のOPEC総会、12月13~14日のFOMC(利上げの確率は65%)などのイベントを乗り越えて上昇するだろう。
●JR九州をじっくりと狙おう!
外部環境は急好転を示している。アメリカの長期金利が底打ち、原油価格はジリ高に転じている。ドルは下げ止まった。2017年にはWTIが1バレル=55~60ドルに、円は1ドル=115円前後になる、と考えている。
外国人は今年1~9月に6.2兆円売り越したが、大発会(1月4日)の日経平均株価の終値は1万8450円だったのに、なぜ売れたのか。それは円高(ドル安、ユーロ安、ポンド安)によるもの。ドルベースでは値上がりしている。
実際、外国人売りの6割強は欧州系の売りだった。円安になると、この売りは止まるだろう。いや、オイルマネーはサウジアラビア、カタールの「10兆円ファンド」への出資にみられるように、株式シフトを強めている。ノルウェーのSWF(総資産90兆円)は株式の組み入れ比率を60%→70%に引き上げた。アメリカ、ドイツの財政出動の効果も大きい。日本の公共工事請負額の伸び率は8月が前年同月比12%増、9月が同18%増と急増している。これは景気下支えにつながる。
物色面ではJR九州 <9142> を狙いたい。売上の54%を占める鉄道事業が2017年3月期には黒字化するし、今期37.5円、来期70円の配当、そして非鉄道事業の展開力、株主優待は魅力である。
2016年10月27日 記
株探ニュース