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【経済】仮想通貨の近未来は「どうなるか?」ではなく「どうするか?」【野口悠紀雄が語るフィンテックと仮想通貨(3)】


ビットコインと銀行発行の仮想通貨との間が、どういう関係になるのかは興味深い問題です。ただ、いくつかの面で、メガバンクの仮想通貨のほうに優位性があります。まず価値が変動しない。だから決済手段としては使いやすい。また、銀行は信頼できるという日本人の思考にも合っているというか、親和性は高いような気はします。ただメガバンクのプライベートブロックチェーンが、どういうブロックチェーンなのかよくわかりません。

仮想通貨間の競争はすでに生じていますが、正直なところ長期の見通しについてはよくわからない面があります。ビットコインのマイニングに伴う収入は今でも、もう2段階減らされて、インセンティブが減っているわけですね。そして将来、発行量が一定になるということはマイニングからの収益がなくなるわけです。

それでもビットコインは運営し続けるだろう、マイニングは止まらないだろうと言われていますが、それは手数料で賄います。本当に手数料だけでマイニングが続くかどうかについては、私は疑問に思っています。つまり、まだよくわからないということです。

とくに仮想通貨の近未来はビットコインのような完全に自由な仮想通貨が扱われるようになるのか、それともメガバンクのように価値を一定にした金融機関が背後にあるような仮想通貨が使われるようになるのか、それとも中央銀行なのか。このどれが実現するかによって、社会のあり方は非常に違うでしょう。

だからこそ今、私たちに必要なのは、「どうなるか?」ではなく、「どうするか?」という能動的な思考・活動だと思います。

(野口悠紀雄/早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問)

※本稿は実業之日本社より刊行されているムック「Jマネー FISCO 株・企業報 2016年秋冬号」の記事からの抜粋(一部修正)です。野口悠紀雄氏へのインタビュー全編「フィンテックの近未来と通貨革命」は、現在発売中の「Jマネー FISCO 株・企業報 2016年秋冬号」をご覧ください。

《FA》

 提供:フィスコ

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