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【特集】変わる現場、労働者100万人減を克服「ICT建設株」の挑戦 <株探トップ特集>

国交省の「アイ・コンストラクション」に対応したコマツのICT油圧ショベル「PC128USi-10」

―意外な企業が「建設関連株」に、生産性20%向上への施策―

 かつて「キツイ・キケン・キタナイ」の3K職場といわれた建設現場が大きく変わろうとしている。政府は9月12日に成長戦略の新たな司令塔となる「未来投資会議」の初会合を開き、第1弾として「建設現場の生産性革命」について議論した。このなかで安倍首相は建設現場の生産性を2025年までに20%向上させると述べ、そのために新たな建設手法を導入する考えを明らかにしている。

●国交省が本格的に取り組む「i-Construction」

 会合では建設業界が直面する課題と構造が示され、建設技能労働者数は14年度の343万人から25年度には216万人に減少し、約130万人の需給ギャップが生じる見通しなどに言及。建設会社の90%以上が中小事業者であり、地域(地方/都市部)、規模に関わらず、労働生産性を向上させる必要があると結論付けた。安倍首相は「3年以内に橋やトンネル、ダムなどの公共工事の現場で、測量にドローンなどを投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐ」との方針を表明し、「全国津々浦々で中小の建設現場が劇的に変わる」と発言した。

 こうした方針の軸となるのが、国土交通省が今年を「生産性革命元年」と位置付け、本格的に取り組みを始めた「i-Construction(アイ・コンストラクション)」だ。これはICT(情報通信技術)や先端テクノロジーの導入に加え、規格の標準化、施工時期の平準化によって、生産性や品質、安全性を高める施策。例えば、3Dマシンコントロールなどを使った情報化施工や、構造物の3次元モデルを使って設計・施工を行うCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)、ドローンやロボットを使った構造物の点検・補修などを推進することで、将来的には技能労働者1人当たりの生産性を5割向上させるとしている。

●コマツは課題解決に向けたソリューション事業を展開

 「未来の現場」を実現させるために注力している代表的な企業としては、コマツ <6301> が挙げられる。同社は13年からICT建機の市場投入を進め、15年2月からは現場の課題解決のためのソリューション事業「スマートコンストラクション」の提供を開始。今後、中核事業として育成していく意向だ。同社ではさまざまな施策を打ち出しているが、直近では7月に国交省の「アイ・コンストラクション」に対応したICT油圧ショベル「PC128USi-10」の販売をスタート。9月には3次元高精度測量のニーズに、全国のパートナー測量会社と協力して迅速に応える体制を整える方針を明らかにした。

●福井コンピ、シーティーエス、トプコンは3次元化を推進

 「アイ・コンストラクション」を実現するには、精密な測量データを入手することが不可欠で、3次元データをデジタル処理することによって簡単かつ高品質な設計・施工が可能となる。この分野で活躍しているのが福井コンピュータホールディングス <9790> だ。同社グループはCADソフトウエアを通じて建築・土木・測量業界の3次元化を推進しており、3Dレーザースキャナーやドローン、MMS(モービル・マッピング・システム)などで計測した膨大な点群データをストレスなく高速に取り扱うことができるシステム「TREND-POINT」や、土木施工業向け国産CIMシステム「TREND-CORE」などの売り上げが大きく伸びている。全国主要都市で開催しているセミナーも活況で、「6月初旬から7月下旬にかけて開催した際には計1000人以上が参加し、関心の高さが伺えた」(営業部)と手応えを感じている。

 シーティーエス <4345> も、「アイ・コンストラクション」を追い風に建設ICT(システム事業・測量計測事業)の売り上げが拡大している。同社は測量・計測機器のレンタル・販売・修理を手掛けているほか、3D計測業務の代行や電子納品などのデータ作成サービスを提供。9月からは、新たに建設業向け高速・大容量のモバイル回線サービスを始めた。ほかでは、測量機器や3次元計測といったスマートインフラ事業に強みを持つトプコン <7732> 、グループ会社が土木に特化したCADを手掛けている川田テクノロジーズ <3443> などに商機がありそうだ。

●パスコ、西尾レント、日立建はドローン測量スタート

 「アイ・コンストラクション」を推進するうえで、もうひとつ大きなカギを握っているのがドローンの活用だ。遠隔操作が可能な重機で施工するには、重機のカメラとは別に現場の状況を確認するための「目」が必要となるほか、崖や橋など人が近づきにくい場所の点検・検査にも欠かせないからだ。

 この分野では、パスコ <9232> と西尾レントオール <9699> が共同で、ドローンによる3次元計測技術を活用した土木工事現場の生産性向上を支援するサービスを6月からスタート。日立建機 <6305> は7月から、テラドローン(東京都渋谷区)と共同でドローン測量サービスを開始した。また、ブレインパッド <3655> は9月、ソニー <6758> とZMP(東京都文京区)の合弁会社でドローンによる空撮測量サービスを手掛けるエアロセンスに、人工知能(AI)のビジネス活用を支援する「機械学習/ディープラーニング活用サービス」を提供したことを明らかにしており注目される。このほかのドローン関連では、ブイキューブ <3681> 、デンソー <6902> 、キヤノンマーケティングジャパン <8060> 、ソフトバンクグループ <9984> などにも目を配りたい。

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