【市況】「9月日銀短観発表、国内景気の行方は?」 藤代宏一氏に聞きました!<直撃Q&A>
藤代宏一氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
●藤代宏一氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
Q1 今回の日銀短観の結果をどう分析していますか
大企業製造業DIは、ほぼ予想通りの内容だった。これは、6月以降の各種経済指標の動向にほぼ沿った動きといえる。全産業全規模のDIは今期で13四半期連続でのプラス圏となった。これはバブル期の1990年前後を除けば、一番長い期間となる。足もとでは、円高の厳しい時期は通過したと思う。今後、DIは2ケタまで上昇することは難しいかもしれないが、ゼロ以下にも落ち込まないだろう。当面は巡航速度での景気拡大が続くと思う。
Q2 日銀の金融政策への影響は考えられますか
注目していたのは企業金融の「資金繰り判断」や「金融機関の貸し出し態度判断」などだったが、全規模全産業ではこれらの指数は改善傾向が続いている。日銀にとっては、金利低下が実体経済を刺激したとも受け止めることができるだけに、前向きに評価できるものだと思う。個人的には、日銀によるマイナス金利深掘りの公算は低いとみているが、その可能性はやや高まったとも思う。ただ、銀行業の業況判断は低下していることにも注意する必要はあるだろう。日銀は、年内は金融政策を据え置くと思う。金融政策の変更があるとすれば、マイナス金利の深掘りと10年債の金利ターゲットの引き下げだろうが、あっても来年以降だろう。
Q3 業種別DIなどで注目できる動きは。また、当面の日経平均株価の動向などは
建設・不動産のDIは30を超え高水準が続いているが、人手不足がなければ、もっと高い数字が出たのかもしれないと思う。当面、マーケットは12月米連邦公開市場委員会(FOMC)の行方を探る必要がある。このため、日経平均株価は今後1~2カ月程度は1万6000~1万7000円前後のレンジ相場が続くとみている。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(ふじしろ・こういち)
第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。
出所:株経ONLINE(株式会社みんかぶ)