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【特集】「OPEC減産合意、原油相場の行方は?」芥田知至主任研究員に聞きました! <直撃Q&A>

芥田知至氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員)

 石油輸出国機構(OPEC)による臨時総会が28日に開催され、2008年以来、約8年ぶりとなる減産で合意した。この減産合意は、市場では驚きを持って受け止められ、原油先物価格は急伸しリスクオンによる世界的な株高も巻き起こした。今回のOPEC臨時総会に対する評価と今後の原油相場の見通しについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員に聞いた。

●芥田知至氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員)

Q1 OPEC臨時総会の結果をどう評価していますか?

 事前には増産凍結は難しいと見られていた。それだけに、減産合意に至ったことはサプライズ(驚き)といえる。これまで、サウジアラビアが減産する代わりにイランに対して増産凍結を提案するが、イランはこれを拒否するため、合意は難しいとみられていた。具体的な交渉内容は、はっきりしないものの、この予想が覆されたことからみて、サウジアラビアからの減産に向けた歩み寄りがあったともみられる。サウジは原油相場の低迷を警戒し、価格安定を重視したように思える。

Q2 OPECにとっては8年ぶりの減産合意です。これが大きな転換点となる可能性は?

 原油相場の低迷に耐えかねて、サウジは原油需給や価格の調整を担う体制に再び回帰したようにもみられる。シェア重視から価格安定へとOPECの姿勢は、少し転換したかもしれない。しかし、同時に原油相場も転換点を迎えるかと言えばそうとは言い切れないだろう。イランのほかにも、OPECには増産を指向する国は少なくない。また、原油価格が上昇すると米国などでのシェールオイルの増産も始まる。原油価格は、ある程度の上昇後は上値が抑えられるだろう。

Q3 今後の原油価格の見通しは?

 当面は強含み基調で、年末まではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル=50ドルを中心とする展開を予想する。ロシアが減産交渉に絡んでくれば50ドル台半ばまでの上昇があるかもしれない。ただ、原油市場の需給のゆるんだ状態が払拭されたわけではなく、一定水準からは上値が重くなると思う。次の焦点は、11月30日のOPEC総会で個別国ごとの生産枠の割り当てが注目される。一方、OPECの減産順守に懐疑的な見方が広がった場合は、40ドル前後への下落もあるかもしれない。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(あくた・ともみち)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員。専門分野は、国際商品市況、原油価格、金属価格、為替、内外経済。1992年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年山一証券入社、山一証券経済研究所・経済調査部。98年、三和総合研究所(現、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。2006年から現職。

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