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【特集】整備特需と割安感…マリコン株は“急浮上”目前 <株探トップ特集>

閑散模様の東京市場で“急浮上”の時を待つ海洋土木株、政策後押しで業績は飛躍のチャンスを迎えている

―政策後押しと業績飛躍チャンス、電力小売自由化も追い風に―

 日米それぞれの金融政策会合を来週20~21日に控え、その金融政策に思惑が錯綜、相場全般は不安定な展開を余儀なくされている。低調な売買代金が映し出す市場参加者不足は覆うべくもなく、様子見を決め込む個人投資家も少なくないようだ。しかし、得てしてこういう閑散商状の場面にこそ次につながるチャンスが眠っている。

●渾身のアベノミクス経済対策で潤う

 ここ波乱の色を帯び始めた米国株市場に加え、日米の金融政策次第でドル円相場などのトレンドも大きく変化する可能性があるため、輸出主力株は手掛けにくい。内需系でも銀行や不動産など金利動向に振り回される銘柄も不透明要因を抱え、テーマ買いの対象としては、しばらく様子をみたい場面だ。となれば、狙い目はずばり国策に乗る内需セクターで、真水および財政投融資により収益機会が創出される建設株だろう。

 安倍政権が8月に打ち出した事業規模28兆円に及ぶ新経済対策において、「21世紀型のインフラ整備」分野に10兆7000億円の予算が計上されており、リニア中央新幹線の名古屋―大阪の延伸前倒しや、訪日客拡大に向けた大型クルーズ船受け入れのための港湾整備などが掲げられている。前者はリニア関連としてトンネル工事に強い建設株が早くから物色ターゲットに挙がっているが、インバウンド需要の入り口である港湾を対象とした後者は意外に軽視されている。しかし、それだけに今後の見直し余地が大きいといえる。岸壁の拡張工事などで恩恵を受けるのは、いうまでもなく海洋土木を得意とする浚渫株(マリコン)である。

●世界の潮流も業績飛躍のチャンスに

 港湾整備特需はこの大型クルーズ船対応にとどまらない。わが国の港湾の国際競争力強化を目的とした“国際戦略港湾”が海洋土木関連株に大きなビジネスチャンスをもたらすことになる。今、世界で就航するコンテナ船やバラ積み船は輸送コストをスケールメリットによって低減させるべく大型化が進んでいる。しかし、日本の港湾は水深が浅く、現状は大型化された船の寄港に対応できていない。現在のグローバルな潮流に乗り遅れないために、コンテナ船やバラ積み船の大型化に対応した岸壁や航路の増深工事が、喫緊の政策課題として推進される方向にあり、マリコンにとって業績飛躍のチャンスが巡ることになる。

 さらに、“風が吹けば桶屋が儲かる”ではないが、4月からの電力小売り全面自由化の影響も大きいとみられている。全面自由化に伴い各地域で大手電力会社が独占してきた巨大市場が開放されたことで、新電力各社が怒涛の参入を目指す動きとなった。これが、新電力による自社電源確保のための火力発電所の新設需要創出につながっており、貯炭場に石炭を運ぶ際の岸壁工事などが今後拡大する方向にあるという。ここでもマリコンの出番到来となる。

●まずは五洋建に用あり、不動テトラに不動の存在感

 まず、関連株の筆頭として注目されるのは海洋土木最大手の五洋建設 <1893> 。国内では2020年の東京五輪に向けた首都圏臨海部の再開発需要を取り込んでいるほか、海外ではシンガポールなどを中心に実績は一頭地を抜く。17年3月期営業利益は前期比4.3%増の215億円を計画するが増額含みとみる市場関係者も多い。テクニカル面でも株価は7月29日に年初来高値628円をつけてから調整局面にあったが、足もと26週移動平均線との接触を待って買い優勢の展開に変わりつつある。

 また、消波ブロックの最大手として知られる不動テトラ <1813> も低位株ならではの魅力を内包し存在感十分だ。出来高流動性に富み、時に全員参加型の大相場に発展することもある。17年3月期は売上高が2ケタ近い増収を見込むものの利益は横ばい圏を予想している。ただ、今期記念配を載せての6円配は配当利回りにして3.6%弱と高い。海洋土木と地盤改良の2分野に特化した実力は、200円未満の時価では評価不足歴然といえる。

 高松コンストラクショングループ <1762> 傘下の青木あすなろ建設 <1865> は東京湾横断道路などで実績。風力発電事業も手掛ける。13年3月期以降、大幅増収・営業増益が続いており、薄商いながら株価600円台はPBR0.6倍前後と割安さが際立っている。同じ高松グループ傘下で連結対象のみらい建設は港湾・空港工事が得意。

●東洋建は狼狽売りで買い場提供か?

 北九州を地盤に海洋土木を得意とする若築建設 <1888> も増収増益基調が続いており、17年3月期業績は増額修正含み。株価はいったん動意すると足の速さが目立つ。150円未満と低位でPBR1倍割れの時価は見直し余地が大きい。豊富な手持ち工事は海洋土木中心。横浜港・本牧エリアの岸壁工事などで実績を持つほか、海外事業も開拓している。

 東洋建設 <1890> も海洋土木大手として外せない銘柄。PER9倍弱で時価は割安感があるが、8月5日に発表した17年3月期第1四半期営業利益が大幅減益だったことで急落した経緯がある。しかし、これは狼狽売りの要素が強く拾い場を提供した可能性がある。手持ち工事が豊富で、市場関係者の間では17年3月期通期の営業利益は会社側計画の80億円を上回ってくる可能性が指摘されているからだ。船舶大型化に対応した高水準の港湾整備は同社の土俵で、今後の業績を一段と後押しする公算が大きい。

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