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【特集】大谷正之氏【日米株価急落で秋相場に異変?】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―迫る日米金融会合、市場はどう織り込む!―

 週明け12日の東京株式市場では日経平均株価が一時300円を超える下げとなった。ここまで、為替の円高懸念はくすぶってはいたものの、日銀のETF買いに対する期待感を背景に下値に対しては安心感もあった。ところが、好事魔多し。前週末に米国市場でNYダウが400ドル近い急落をみせたことから、にわかに東京市場もリスクオフの波にさらされる格好となっている。これは一時的な狼狽売りにとどまるのか、それとも波乱相場の入り口か。第一線で活躍する市場関係者の声をまとめた。

●「日銀の柔軟性重視の追加緩和策に期待」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 12日の東京株式市場は、前週末に米早期利上げ観測が浮上し、NYダウ平均株価が394ドル安と急落したことを受け、日経平均株価は前週末比292円84銭安の1万6672円92銭と急反落を強いられた。前場は、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ期待から下げ渋る場面もあったが、後場は株価指数先物主導で下落幅が広がった。今週中に、場合によっては1万6500円台を一時割り込む場面もありそうだ。

 来週の20~21日に開催される日米両国の金融政策の決定会合が経過するまでは売り買いともに手控え姿勢が強まりそうだ。2日に発表された米8月の雇用統計の内容から、一時はかなり後退していた米国の9月利上げ観測が再び浮上してきた。一方、日銀は、これまでの異次元緩和策への「総括的な検証」を実施し、その上で何らかの追加緩和策が打ち出されるかに注目が集まる。例えば、日銀の国債購入額の拡大などで、柔軟性を重視した緩和策が打ち出された場合、市場関係者に好感され、再び1万7000円台を回復する可能性もある。

 10月に入ると、3月期決算企業の第2四半期累計(4-9月)の発表が接近し、業績に関心が集まる。既に円高による業績下振れをかなり織り込んでおり、今後極端な円高進行がなければ、見直し買いの可能性も浮上しそうだ。

 当面の物色対象としては、15日から18日までの4日間(一般公開は 17、18日)、千葉・幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2016」関連銘柄に注目している。目玉となるのが、ソニー <6758> 傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売する「プレイステーション4」(PS4)対応のVRシステム「プレイステーション ヴィーアール(PS VR)」だ。また、「PS VR」向けにソフトを提供しているカプコン <9697> 、バンダイナムコホールディングス <7832> なども関心を集めそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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