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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:ジャクソンホール、日銀ETF、FinTechフォーラム

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限16800-下限16400円

来週は、最大の焦点となるのは、8月26日にジャクソンホールで予定されているFRB議長の講演となろう。8月25日から27日にかけて、ジャクソンホールでは各国中央銀行関係者が集まる金融・経済シンポジウムが開催される予定となっている。FRB議長が早期利上げに前向きな発言をするのか、利上げ先送りを示唆するのか、現時点でも注目度が高まる格好になっている。実際は、方向性が定められるような発言はなされない可能性が高いものの、少なくても、イベント前には様子見ムードが強まっていくことになろう。

米国では、新築住宅販売件数(23日)、中古住宅販売件数(24日)、耐久財受注(25日)などの経済指標が発表される。ジャクソンホール会合前だけに、従来以上に反応が強まる可能性もあろう。また、欧州では独Ifo景況感指数(25日)が発表予定、こうした海外の経済指標が為替の動きを通して東京株式市場にも影響を与えることになっていこう。

来週は国内では大きなイベントが予定されていない。足元では連動性が薄れてきているとはいえ、引き続き為替動向が最大のカタリストとなろう。また、日銀のETF買い入れ動向にも注目が一段と高まる方向にある。どの程度までの下落であれば買い出勤するのか、どこかの段階では、日銀のスタンスを探ろうといった売り仕掛け的な動きも強まろう。ただ、いずれにせよ、薄商いの中では日銀のETF買い入れインパクトは大きく、買い方は押し目買いに徹する可能性がある。上値追いの減少、押し目買いの増加で、大きな方向性は定まらない公算だ。

原油市況の上昇、米国株式市場の堅調な動きが、世界的にも金融相場にポジティブな影響を与えている。この両輪のトレンドは同一方向とみられるが、差し迫ったリスク要因も世界的に減少しつつある中、米国金融政策の変化が顕在化してくるまで、当面はリスクオンの流れを演出していく公算が大きい。

今週の物色動向で目立ったのは、景気敏感株買い、内需ディフェンシブ売りといったリターンリバーサルの流れである。原油市況の上昇などは支援材料といえるが、為替の円高が進行している状況下、輸出関連株上昇の持続性には懸念も残る。決算発表後のアナリストの業績見直しの動きなどが、売り込まれた景気敏感株見直しのきっかけにもつながっていると考えられるが、今後はこうした動きも一巡してこよう。なお、半導体製造装置各社も足元で堅調な動きになっているが、来週は北米半導体製造装置BBレシオ(23日)などが関連株のさらなる評価材料につながるか注目。

新興市場には資金流入の減少が継続しているが、日経平均動意薄の状況が継続すれば、さすがに出遅れ感に対する意識も強まってこよう。足元ではテーマ物色の動きも散見されつつあり、個人投資家のマインド改善を期待したい。とりわけ、23日には「第1回FinTechフォーラム」が開催され、黒田日銀総裁の講演も予定されている。フィンテック関連などの動意にも注目したいところ。




■為替市場見通し

来週のドル・円は、上値の重い展開になろう。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ時期をめぐり、26日に予定されるイエレン議長のジャクソンホールでの講演や4-6月期米国内総生産(GDP)改定値が注目される。連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの間でも見解の違いがみられることから、ドル・円相場が一方向に大きく動く可能性は低いとみられる。

6月と7月の米非農業部雇用者数は予想を大きく上回っており、早ければ9月に利上げとの期待が高まったが、その後発表された7月消費者物価指数や7月小売売上高などは低調な内容だった。早期利上げ期待は大きく後退し、ドル売りがやや優勢となっている。4-6月期GDP改定値が下方修正された場合、年内利上げ観測は後退し、ドルの上値はさらに重くなりそうだ。

今週最大の注目はジャクソンホールで行われるイエレンFRB議長の講演か。利上げにやや前向きなスタンスを示してきた同議長がハト派的な発言をすれば、早期利上げ観測は大幅に後退し、ドル売り材料となりそうだ。一方、主要国の株価は引き続きドルの値動きに影響を与える見通し。特に米国株が底堅い動きを続けた場合、ドルのサポート要因となりそうだ。




■来週の注目スケジュール

8月22日(月):コンビニエンスストア売上高、全国スーパー売上高など
8月23日(火):中MNI企業景況感指数、独製造業PMI、米製造業PMIなど
8月24日(水):独4-6月GDP改定値、ユーロ圏製造業PMI速報、米中古住宅販売件数など
8月25日(木):企業向けサービス価格指数、独IFO景況感指数、米耐久財受注など
8月26日(金):米4-6月GDP改定値、イエレン議長ジャクソンホールで講演など
8月27日(土):中工業利益など

《TM》

 提供:フィスコ

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