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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はやや底堅い展開か、日本銀行による追加緩和期待は持続

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル下げ渋り、米労働市場の改善継続で年内利上げの可能性残る

先週のドル・円は下げ渋り。一時100円台後半までドル安・円高が進行したが、5日発表された7月の米雇用統計は市場予想を大きく上回ったことから、ドルは一時102円台に戻す場面があった。

9月利上げの可能性は残されているとの見方や2日に閣議決定された事業規模28.1兆円の大型経済対策への期待が広がったことから、ドルは一時102円83銭まで買われたが、日本銀行の金融緩和策は9月以降、縮小方向に向かうとの思惑が浮上し、ドルは反落。英国やユーロ圏の金利先安観が台頭したことから、英ポンド、ユーロに対する円買いも観測されており、ドル・円は2日の欧米市場で一時100円68銭まで下落した。

しかしながら、日本銀行の黒田総裁は「デフレ脱却に政府と連携して向かうことを再確認した」との見方を示し、リスク回避の円買いは一服。3日に発表された7月のADP全米雇用報告は市場予想をやや上回る内容だったことや、5日に発表された7月の米雇用統計内容を好感してリスク選好的なドル買いが活発となった。取引レンジ:100円68銭-102円83銭。


■ドル・円はやや底堅い展開か、日本銀行による追加緩和期待は持続

今週のドル・円は、やや底堅い展開か。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げの可能性は高まっていないが、年内利上げへの期待は後退していない。また、日本銀行による早期追加緩和への期待は持続しており、ドル相場を下支えする要因となる。日銀黒田総裁は7月29日の金融政策決定会合後の記者会見で言及した金融緩和政策の「検証」について、市場では緩和縮小観測が一時広がったが、黒田総裁を含めて金融当局者は金融緩和策の縮小を明確に否定している。

また、原油高や株高もドルを押し上げる要因となりうる。原油先物は在庫増加などで節目の40ドルを一時割り込んだが、世界経済の成長鈍化は織り込み済みであり、原油の供給超過の状態はおおむね解消された。現時点では原油安に起因する株安やドル安・円高に対する過剰な警戒感は低下している。また、世界的な低金利で資金は株式市場に流入しやすく、欧米やアジアの株価上昇が見込まれている。主要国の株高はリスク選好のドル買い・円売りを促す一因とみられている。

米国を除く主要国の中央銀行は金融緩和の姿勢を強めていることも無視できない。ニュージーランド準備銀(中央銀行)は11日に0.25ポイントの利下げに踏み切る見通し。オーストラリア、英国の中央銀行は金融緩和の方向性を強めている。米国は年内に利上げを行う可能性があることに変わりはなく、米国と欧州、日本との金利差拡大が再び意識された場合、投資家の資金はドルに向かう可能性があることを留意しておきたい。

【米・7月小売売上高】(12日発表予定)
12日発表の米7月小売売上高は前月比+0.4%と予想されている。6月は同比+0.6%の高い伸びを記録した。7月の小売売上高が予想を大幅に下回った場合、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費にやや陰りが見られるため、米国経済の失速に対する警戒感が広がり、ドル売りにつながりやすい。

予想レンジ:100円50銭-103円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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