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【特集】<話題の焦点>=1ドル=105円、保守的な為替想定銘柄に注目

日精樹脂 <日足> 「株探」多機能チャートより
 英国の欧州連合(EU)からの離脱が決定した直後、6月24日の東京株式市場では1ドル=99円水準まで急激に円高・ドル安が加速した。ところが、足もとでは1ドル=104~105円台までの戻りをみせている。

 今週から3月期決算企業の第1四半期(4~6月)の決算発表が本格化するが、輸出関連企業の円高進行による採算悪化懸念が焦点となる。輸出関連企業の多くは、17年3月期通期の想定為替レートを1ドル=110円水準としているが、なかには1ドル=105円など、かなり保守的な想定のケースもある。こうした企業では、業績面で下方修正の可能性が限定的で、円高進行に対して抵抗力が発揮される。

 保守的な為替想定で、まず注目したいのは、1ドル=100円と超保守的な前提を打ち出している射出成形機最大手で周辺機器、金型、部品などにも展開している日精樹脂工業<6293>だ。同社は17年3月期の連結業績見通しで、売上高360億円(前期比6.0%減)、営業利益24億円(同11.4%減)と減収減益を見込んでいるものの、主力商品の射出成形機が国内、北米で引き続き順調な販売を持続しており、想定に比べて円安状態にあることから、上方修正の可能性もある。

 次に注目したいのが、今期想定為替レートが1ドル=105円と保守的にもかかわらず、今期営業増益を見込んでいる企業だ。東レ<3402>は、17年3月期の連結業績は、売上高2兆2300億円(前期比6.0%増)、営業利益1700億円(同10.0%増)と、2ケタ増益を見込んでいる。炭素繊維が航空機向けに順調に拡大するのに加え、電子部品・半導体・回路材料、電子部品向けフィルムや韓国子会社の高機能回路材料が堅調に推移することが見込まれる。

 コニカミノルタ<4902>は、17年3月期の連結業績について、売上高1兆600億円(前期比2.7%増)、営業利益660億円(同9.9%増)を見込む。情報機器事業では、海外市場のオフィス向け複合機のカラー化率の増加傾向が続くと想定される。また、商業・産業印刷分野では、デジタル印刷の需要が増加する見込み。一方、ヘルスケア事業では、医療診断のデジタル化の進展を背景にデジタルⅩ線撮影装置、超音波画像診断装置が各地域とも成長を維持すると想定される。

 ホンダ<7267>は、17年3月期の連結業績について、売上高13兆7500億円(前期比5.8%減)と減収となるものの、営業利益は6000億円(同19.2%増)を見込んでいる。今期の二輪車は、アジア地域での大幅拡大を想定し1836万台(前期比7.7%増)を見込み、四輪車は、アジアや北米地域の伸びにより491万5000台(同3.6%増)を想定している。さらに、サンケン電気<6707>は、17年3月期の連結業績を売上高1560億円(前期比0.1%減)、営業利益70億円(同2.9%増)を見込む。半導体デバイスが、自動車や白物家電向け製品を中心に、底堅い需要が想定されている。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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