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【特集】「マザーズ先物」取引開始、そーせい・ミクシィに影響は? <株探トップ特集>

マザーズ指数 <日足> 「株探」多機能チャートより

―初日出来高2800枚と低調、「逆ザヤ」続き盛り上がりはこれから―

 東証マザーズ指数先物の売買がきょうからスタートした。中小型株指数の先物の登場は初めてのこと。信用取引での空売りができない銘柄が多いマザーズ株を取引する投資家にとっては、ヘッジ売買が可能となる。また、同先物指数への投資によりレバレッジを掛けた取引を行うこともできる。マザーズ市場は、人気化の反動で調整局面だが、指数先物は相場の上昇・下落の局面で活用することができ、有効な投資手法となる。

●レバレッジ効かした取引可能、少額での売買参入も

 この日から売買が開始された東証マザーズ先物指数は945.0ポイントで取引を開始し同924.5で日中立会の取引を終えた。東証マザーズの現物株指数の終値は前週末比5.66ポイント安の941.65ポイントだった。

 マザーズ先物指数は、この日大阪取引所が新たに導入した4つの商品のうちの一つ。19日に新システム「J-GATE」が稼働したのと同時に導入された。取引時間は、日中立会が午前8時45分~午後3時15分、ナイトセッションが午後4時30分~翌日午前5時30分まで。

 この日、新規導入された東証マザーズ先物は、初の中小型株指数の先物となる。信用取引での空売りができない銘柄が多いマザーズ株を取引する投資家にとっては、先物によるヘッジ売買が可能となる。

 取引単位は東証マザーズ指数を1000倍したもので、約90万円前後が想定元本となるが、実際には想定元本より少額の証拠金を証券会社に預けることで、1単位の売買が可能。証拠金は、各証券会社により異なるものの、現在は10万円以下の水準で1単位の取引ができるとみられ、レバレッジを効かした売買も可能だ。

 取引最終日は、3、6、9、12月の各限月の第2金曜日(SQ日)の前営業日であり、今後、東証マザーズ銘柄の売買でも東証1部銘柄と同様、先物を意識した姿勢も求められそうだ。

●中小型株のトレンド把握に有効、流動性がカギ握る

 マザーズ先物のこの日の値動きは一時890.5ポイントまで下落し、現物指数より割安水準にある逆ザヤ状態が続いた。出来高は2800枚強だったが、市場関係者は、「売買面の盛り上がりはこれからだろう」(同)といい、初日の売買は低調だったようだ。市場には「流動性がどこまで膨らむかが焦点」(ファンドマネージャー)とみる声が少なくない。流動性に欠ければ、機関投資家の参入も限定的となり、結果として指数先物の商いも細ったままとなることもあり得る。

 時価総額上位で東証マザーズ指数への影響力も大きいのは、ミクシィ <2121> [東証M]やCYBERDYNE <7779> [東証M]、そーせいグループ <4565> [東証M]などだが、先物の出来高が低迷している状況では先物との裁定売買で時価総額上位銘柄の株価が左右されるようなことは、起こりにくいとみられている。

●任天堂人気はマザーズに逆風? SQなどの動向を注視も

 とは言え、マザーズ先物は「中小型株のトレンドを把握するうえでは有効」(アナリスト)だ。先物が先行する格好で現物株を上下させることはあり得る。それだけに、個人投資家にとってマザーズ先物は、中小型株に対してヘッジ取引をしたり、相場観に基づく売買を行ったりするには有効なツールとなりそうだ。

 東証マザーズ指数は、今年4月と5月に1200ポイントまで上昇した後は、調整局面に入っている。ある中小型株アナリストは「任天堂 <7974> 人気でマザーズから資金が任天堂関連株に流出している面もあるだろう」という。

 また、春先に中小型株が買われたのも全体相場の不透明感が強まり、外部環境の影響を受けにくい、マザーズなど中小型株が人気化した側面もある。それだけに、足もとで全体相場が戻り局面にあることは、中小型株には逆風となっている。夏場以降、全体相場が再度、軟化すれば東証マザーズに資金が流入することも予想される。

 なかでも、東証マザーズで大きな時価総額を占めるバイオ株の動向などにも左右されそうだ。また、今後はマザーズの動向をみるうえでも、9月や12月といった3カ月ごとのSQ(特別清算指数)での動向も目を離せないイベントとなる。


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