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【市況】後場に注目すべき3つのポイント~ETF絡みの売りに警戒、個別で材料のある銘柄にシフト

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

8日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・ETF絡みの売りに警戒、個別で材料のある銘柄にシフト
・ドル・円は100円69銭付近、ドル失速、日本株の反落で
・資生堂、アステラスなど10社のレーティング格上げ



■ETF絡みの売りに警戒、個別で材料のある銘柄にシフト

日経平均は続落。59.00円安の15217.24円(出来高概算8億4000万株)で前場の取引を終えている。買い先行で始まり、寄付き直後には一時15399.70円まで上げ幅を広げる場面もみられた。7日の米国市場は高安まちまちだったが、米ADP雇用統計が予想を上回ったことで、今晩の米雇用統計に対する期待が高まっている。また、日銀の黒田総裁は、必要な場合には追加の金融緩和も辞さない考えを改めて強調したことも安心感に。日経平均は足元3日間で500円近く下げており、自律反発の買いが先行したようだ。SQに絡んだ商いは売り買いトントンとの観測。TOPIX型で若干買い越しだったもよう。

しかし、その後は戻りの鈍さが意識されるなか、じりじりと上げ幅を縮め、前引けにかけて下げに転じている。セクターでは任天堂<7974>の強い値動きもあって、その他製品が上昇率トップ。輸送用機器、ゴム製品が小じっかり。一方で、不動産が下落率トップ。鉱業、電力ガス、保険、ガラス土石、銀行、小売が冴えない。東証1部の騰落銘柄は、値下がり数が1200を超えており、全体の6割を占めている。

日経平均は前引けにかけて急速に弱含みの展開となった。大引けにかけてETFの分配金落ちに伴う分配金捻出のための売りが発生するとみられており、市場関係者の話としてその規模は約2000億円とみられている。先回り売りによる買戻しや年金等の買いによって相殺される可能性はあるものの、これが警戒されるなかでは神経質な相場展開になりやすい。
日経平均は直近の価格レンジ内での推移が続いている。ETFに絡んだ売りが警戒される局面では、下げ幅を拡大させてくる可能性がありそうだ。また、米雇用統計が控えているが、予想を上回ったとしても利上げ観測が高まる可能性は低いと考えられ、円相場の円高基調が上値の重石になりやすい。ただ、個別では材料の出ている銘柄やテーマ株の一角には資金が向かっており、押し目拾いのスタンスといったところか。


(株式部長 村瀬智一)



■ドル・円は100円69銭付近、ドル失速、日本株の反落で

8日午前の東京外為市場では、ドル・円は失速した。日本の通貨当局による為替介入期待で円売りがやや強まったものの101円台を回復できず、その後は日経平均株価の反落を受けドル買いは弱まった。ドル・円は朝方100円65銭を付けた後、日経平均の上昇を受けじりじり値を上げた。また、浅川財務官は8日午前、財務省内で記者団に「投機的な動きがあればきちっと対応する」「緊張感を持って為替市場を注視する」などと述べたことがドルを押し上げた。

しかし、英国経済への不透明感からリスク回避的な円買いは続いており、介入期待が高まってもドルは101円を回復できず、上値の重さが意識されている。ランチタイムの日経平均先物はマイナス圏推移が続いているため、ドルは午後も100円台後半が取引の中心となろう。

ここまでドル・円は100円65銭から100円97銭、ユーロ・ドルは1.1059ドルから1.1079ドル、ユーロ・円は111円33銭から111円86銭で推移した。

12時20分時点のドル・円は100円69銭、ユーロ・円は111円50銭、ポンド・円は130円36銭、豪ドル・円は75円55銭で推移している。

(為替・債券アナリスト 吉池威)



■後場のチェック銘柄


・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、2位KDDI<9433>、2銘柄で日経平均約26円押し下げ
・業種別では不動産業が下落率トップ
・資生堂<4911>、アステラス<4503>など10社の投資評価格上げ

・メルケル独首相
「欧州の安全はロシアとともにのみ保障される」

・浅川財務官
「投機的な動きがあればきちっと対応」
「緊張感を持って為替市場を注視する」



☆後場の注目スケジュール☆

<国内>
・特になし

<海外>
・15:00 独・5月貿易収支(予想:+235億ユーロ、4月:+257億ユーロ)

《WA》

 提供:フィスコ

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