【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(3):野村、三菱ケミHD、ソニー、中外薬
野村 <日足> 「株探」多機能チャートより
野村ホールディングス<8604>、大和証券グループ本社<8601>などをはじめ証券株が軒並み高。前週末は英国EU離脱決定を受けた世界的な株波乱で東京市場も急落、そのなか証券株も投信など運用成績の悪化やリスク回避ムードを背景とした投資家資金の離散が嫌気されて大きく売り込まれた。週明けからの全般戻り相場でも上げ足は鈍かったが、きょうは投資家心理が改善するなか、出遅れ感に目をつけた買いが株価を押し上げる格好となった。
■三菱ケミHD <4188> 464.7円 +4.1 円 (+0.9%) 本日終値
三菱ケミカルホールディングス<4188>が続伸。国内大手証券は、同社が29日午後1時30分から開催したIR Dayに関するリポートをリリース。事業が多岐にわたり、全体像が掴みにくい同社ではあるものの、高機能フィルムなどで、ニッチ分野で高い競争力を持つ製品があることを確認できたと紹介。また会社側が、全社に60あったMBU(市場ビジネスユニット)を10に縮小させることで、シナジーを生み、またそれぞれについて今後5~10年後を見据えてどういった需要が拡大するかを調査させているとしており、こうした動きには注目したいと解説。現時点でレーティングは「ニュートラル」を継続している。同証券ではまた、29日引け後に三菱化学が鹿島事業所のエチレンプラントで重要機器の不具合が確認されたため、現在設備の詳細点検を行っており、定修後のスタート時期が当初予定していた7月1日から約2週間後となる見通しだと発表したことについて、稼働停止による営業利益押下げ要因は20~30億円以下と推定し、全社に与える悪影響は小さいとみるほか、エチレン市況などに与える影響も限定的と解説している。
■ソニー <6758> 2,988円 +26 円 (+0.9%) 本日終値
ソニー<6758>が4日続伸。前日に開催した経営方針説明会ならびにIR Day 2016で、ロボット事業に再参入することが明らかになり、前日の株価は終日堅調に推移した。きょうもその流れが続いているようだ。きょうは複数の国内大手証券がリポートをリリースしている。SMBC日興証券では、今回のIR Dayで最も注目されたのはG&NSとしたうえで、PS4 Neoの投入などによるゲームの持続成長性やVRの潜在力の高さなど、中期の「夢」を描けるビジョンとロードマップが共有されたことはポジティブであろうと指摘。VRがノンゲームの世界まで拡張し、新たなエコシステムを生み出せるプラットフォーマーへと昇華できるか、注目していきたいと解説。投資評価「1」(アウトパフォーム)、目標株価3100円を継続している。また、野村証券のリポートでは、VRについては、ゲームのみならず、映像・音響技術の活用や、映画・音楽分野との連携など、グループ一体となって取り組んでいくと紹介。また、AIの活用やロボティクスへの展開などの方針も示されたが、ここでもグループの総合力を発揮することが求められようと解説。現時点でのレーティングは「バイ」としている。このほか、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のリポートでは、社外の先進知見を取り込むSony Innovation Fundの設立や、AIやロボティックスに向けたカンパニー横断の取り組みなどに期待が持てると解説。現時点のレーティングは「オーバーウエート」、目標株価は3500円としている。
■中外製薬 <4519> 3,635円 +25 円 (+0.7%) 本日終値
クレディ・スイス証券の医薬品セクターのリポートでは、BREXITでマーケットが不安定化するなか、同セクターは短期的には資金の回避地として、中長期的には成長性が高い銘柄を選別する機会になると指摘。医薬品銘柄のなかで円高メリットを享受しやすいのは外貨建て輸入が大きい中外製薬<4519>やツムラ<4540>、円高デメリットを受けやすいのは海外からのロイヤルティー収入などが目減りする塩野義製薬<4507>、小野薬品工業<4528>、田辺三菱製薬<4508>とみるも、中長期的には新製品の貢献などで増収増益へ回帰できると解説。医薬品銘柄では、塩野義製薬、中外製薬、協和発酵キリン<4151>、参天製薬<4536>を推奨。医療機器/ヘルスケアでは為替の影響が少ないエムスリー<2413>を第一に、シスメックス<6869>の株価調整は押し目買いの好機との見解を示している。
■グリー <3632> 578円 +2 円 (+0.4%) 本日終値
グリー<3632>が4日続伸。同社は29日、サイゲームス(東京都渋谷区)が開発・運営する登録者数1000万人突破の超大作RPG「グランブルーファンタジー」のGREE版を7月12日から配信開始することを決定、配信に先駆けて6月29日から事前登録を始めており、これが買いの手掛かり材料となっている。また、30日付の日本経済新聞が、同社子会社でインターネット広告の配信支援を手掛けるグロッサム(東京都港区)が広告ベンチャー企業を買収すると報じたことも株価を刺激しているもようだ。
■三越伊勢丹 <3099> 906円 +3 円 (+0.3%) 本日終値
三越伊勢丹ホールディングス<3099>が反発。JPモルガン証券では、インバウンドの売上減速で、厳しい販売実勢が続いていると指摘。当面は販売底打ちや回復感、中期では資産有効活用が株価回復の鍵になるとの見方で、業況は厳しいものの、現株価からの下値余地は限定的と解説。レーティング「ニュートラル」を継続、目標株価を1500円から1050円に引き下げている。
■ヤマハ <7951> 2,737円 -117 円 (-4.1%) 本日終値
ヤマハ<7951>が3日続落。ドイツ証券が同社ついてリポートをリリースしたことが確認されている。リポートによると、従前から17年3月期の前年比増益について懐疑的な見方に変更はないと紹介。足許の外部市場環境の変化を受けて業績予想を下方修正し、目標株価を2800円から2400円へ引き下げ、投資判断は「ホールド」を継続。一時的な株価調整は避けられないとの見解を示している。ただ、同社のファンダメンタルズは着実に改善しており、粗利益率は改善する見通しであると指摘。株価が大きく調整した後は、中期的な投資タームで、ボトムを見極めるフェーズになるとみている。
■ミルボン <4919> 4,605円 -175 円 (-3.7%) 本日終値
ミルボン<4919>が反落。29日取引終了後、16年12月期第2四半期累計(15年12月21日~16年6月20日)の連結決算を発表し、売上高は142億1800万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は24億2300万円(同2.3%増)、最終利益は14億6400万円(同1.4%増)と増収増益だったが、決算期待の買いで3連騰していたこともあり、きょうは利益確定の売りに押されている。主力のヘアケア用剤部門でプレミアムブランド「オージュア」が伸長したことや、アウトバストリートメントの新製品が好調だったことが牽引。また、染毛剤部門は前年に発売したグレイカラーが引き続き売り上げに貢献した。さらに、中国や韓国を中心に海外売上高が前年同期比15.6%増と2ケタ伸長したことも、業績向上に寄与した。なお、通期業績予想は従来見通しを据え置き、売上高289億5000万円(前期比5.7%増)、営業利益50億円(同5.8%増)、最終利益31億円(同5.1%増)を見込んでいる。
■日本オラクル <4716> 5,450円 -180 円 (-3.2%) 本日終値
日本オラクル<4716>が続落。大和証券がリリースしたリポートによると、16年5月期は概ね予想通りの着地と紹介。売上高は全セグメントで拡大を見せ、幅広い業種で利用される同社のデータベース・関連製品が、わが国IT市場とクラウド需要拡大に牽引されたと解説。ただ、同証券の予想は変更なしとしたうえで、17年5月期配当は通常回帰し前期比で減配となるとみている。同証券ではまた、グローバル・マクロ経済の不透明感強いなかで、同社の安定成長・安定配当力は債券的な魅力があるとみて、投資判断は「2」(アウトパフォーム)を継続。目標株価は6590円から5940円へ引き下げている。
■ネットワンシステムズ <7518> 589円 -17 円 (-2.8%) 本日終値
ネットワンシステムズ<7518>が3日続落。大和証券は29日、同社株の投資判断を「2(アウトパフォーム)」から「3(中立)」へ引き下げた。目標株価は750円から620円に見直している。同証券では、「依然、通信キャリア向け受注が不透明、短期業績は振幅が大きかろう」と指摘している。ただ、長期的にはクラウドが業績を牽引するとみており、17年3月期の予想配当利回りが5%前後の水準にあることから、「配当目当てのバリュー投資家に好適」ともみている。
●ストップ高銘柄
ぱど <4833> 284円 +80 円 (+39.2%) ストップ高 本日終値
ネクストウェア <4814> 209円 +50 円 (+31.5%) ストップ高 本日終値
ALBERT <3906> 1,500円 +300 円 (+25.0%) ストップ高 本日終値
農業総合研究所 <3541> 6,340円 +1,000 円 (+18.7%) ストップ高 本日終値
くろがねや <9855> 512円 +80 円 (+18.5%) ストップ高 本日終値
など、7銘柄
●ストップ安銘柄
なし
株探ニュース