市場ニュース

戻る
 

【特集】「回転すし」新時代、大幅増益が相次ぐワケは <株探トップ特集>

かっぱ寿司では5月9日~5月22日の期間、「中とろ二貫で108円」キャンペーンを実施している。

―新戦略奏功、成長続けるチェーン各社―

 外食産業では都市部を中心に展開する居酒屋業態が苦戦する一方で、ロードサイドを中心に回転寿司チェーンが好調を続けている。従来の発想を超えたメニュー開発なども功を奏し、今後の業績でも多くの企業が好調な見通しをうち出している。内需では回転寿司チェーンを展開する関連企業が注目できそうだ。

●寿司以外のメニューで新たな顧客層を取り込む

 外食産業については、若者を中心とする酒離れや社内での飲み会の減少などさまざまな要因が重なりビジネス街や駅前立地の居酒屋チェーンが苦戦している。

 その一方で、ロードサイドを中心とする回転寿司は好調を維持している。洋食レストランなど他の業態と異なり、中心価格帯が一皿100円と値ごろ感を持っていることが魅力となっており、家族連れを中心に顧客から根強い支持を得ている。これに加えて、近年では高級魚の寿司ネタなど高価格帯商品の品揃えを強化、寿司以外の商品投入も積極化することで、中高年層など新たな客層の取り込みにも成功している。多くの企業で自動化システムの導入などで廃棄ロスが軽減、スマートフォンなどを活用した入店予約システムにより、利便性が向上していることも客数増に貢献している

●「すしやのシャリカレー」が人気のくらコーポ

 回転寿司チェーンでは従来の発想を超えたメニュー開発で成功を収めているのが関西を地盤に「無添 くら寿司」を展開するくらコーポレーション <2695> 。同社は無添加の寿司酢や当年産新米の採用などあらゆる面で安全性を徹底。さらに「世界初の時間制限管理システム」や「コンピューター制御による皿のカウントシステム」、1時間に3600貫を生産する「寿司ロボット」など最先端のハイテク機器を導入している。2015年7月に発売を開始した酢飯(シャリ)を用いた「すしやのシャリカレー」が3カ月で100万杯を販売、その後、4種類のトッピングメニューも投入し好調持続。「サイドメニューの強化により生モノが苦手なお子様などのニーズに応え、ファミリー層の顧客が増加、5月13日からは冷やし中華も新たに投入している」(IR担当)とさらなるメニユーの充実を図っている。これにより、今16年10月期は第1四半期(15年11月~16年1月)で連結営業利益は18億9400万円(前年同月比28.6%増)を達成し、通期予想の60億8000万円(前期比3.5%増)へ向け好スタートを切っている。

●フルオーダー店舗に注力のカッパ

 一方、「かっぱ寿司」をチェーン展開するカッパ・クリエイト <7421> も17年3月期は通期連結営業利益で37億9000万円(前期比48.7%増)と大幅な増益を見込む。全店へのクレジットカード・電子マネーの導入を図るとともにフルオーダータイプへの店舗改装を進め、商品面では「ネタ力全開!」をフレーズに商品の品質向上に注力、「キャンペーン企画の充実を図っており、商品面での充実が既存店の好調につながっている」(広報部)と語る。5月13日から5月29日までは「ドーンと海老祭り」を開催するなど今期もキャンペーンの積極展開を行う。

●元気寿司はオールオーダー型で差別化

 オールオーダー型店舗の出店に注力し他社との差別化を行っているのが、「元気寿司」、「魚べい」、「千両」の3ブランドで展開する元気寿司 <9828> 。回転レーンをなくし、全ての商品をタッチパネルで注文し高速レーンで届けるオールオーダー型店舗の出店や改装に注力。「オールオーダーにより、新鮮な寿司を即座に届けることを可能にし、希望の商品を待つという従来の回転寿司にストレスを感じている顧客層の取り込みを行っている。関西での新規出店ではオールオーダータイプの反響は高い」(総務部)と手ごたえを感じている。同社は17年3月期に通期連結営業利益で16億1000万円(前期比15.4%増)を見込み、米国子会社の既存店の改装や新規出店にも取り組むことで、19年3月期に連結営業利益24億円を目指す目標を打ち出している。

●サイドメニュー強化奏功のゼンショー

 牛丼の「すき家」が主力のゼンショーホールディングス <7550> は「はま寿司」の積極的出店によっても業容拡大を推進している。期間限定の「贅沢握り」など高付加価値品を投入し、「磯うどん」などサイドメニューの強化も行っており、「サイドメニューの拡充により、幅広い年齢層からの来店が広がっている。はま寿司についてはメニューの充実とともに今期も50店程度の出店を行い注力していく」(広報IR部)とし、今17年3月期は通期連結営業利益で177億1000万円(前期比46.2%増)を見込む。

●銚子丸はマグロ解体ショー

 加えて銚子丸 <3075> [JQ]は郊外型回転ずし「すし銚子丸」を関東エリア(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)を重点にドミナント出店。100円台から500円台まで幅広い価格帯の寿司を取り揃え、マグロ解体ショーを実施するなど主力食材である「まぐろ」にこだわった商品展開を推進している。


株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均