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【特集】日銀、動かず――“624円ショック安”市場の見方 <株探トップ特集>

日銀“現状維持”で624円安、今後の相場は?

―ささやかれる追加緩和5月先送り説、サミット前後に狙いか―

 28日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比624円44銭安の1万6666円05銭と急落した。28日まで開催された日銀の金融政策決定会合の内容が“現状維持”となったことで、株式市場では失望売りが膨らみ大幅安。外国為替市場では1ドル=108円台へと円高・ドル安が進行している。今後の相場展開について、市場関係者の見方を交えて展望した。

●青天の霹靂で後場寄りに急落

 前場終値の日経平均が243円高と4日ぶりの大幅反発となっていた28日の東京株式市場だったが、昼休み時間中にまさに“青天の霹靂”状態に陥った。日銀の金融政策決定会合の結果が「現状維持」と発表されたことを受けて失望売りが広がり、後場寄り付きの日経平均は、前日比で500円を大きく超える下落幅となった。

 外国為替市場では、円が対ドルで一時、1ドル=108円後半まで上昇、輸出採算の悪化を懸念して自動車、電機、機械などの主力株を中心に下落に転じる銘柄が目立った。今回の日銀金融政策決定会合では、何らかの追加緩和策が発表されるとの期待感が事前に高まり、既に株高・円安が進行していたことから、株式市場では失望売りが大きく膨らんだ。

●株高・円安の先行が見送りの背景?

 市場関係者からは「日銀が今回、追加緩和を見送った背景には、日本株がすでに高い水準まで上昇し、円安もある程度進行していたことがあったのではないか。極端な言い方をすれば、ある程度の追加緩和策を打ち出して売られるよりも、ゼロ回答で追加緩和を次回以降に温存し売られた方がましだったのではないか」との見方が出ていた。

 失望売りが広がった背景には、展望レポートで物価目標2%の達成時期を先送りしていながら、その対策ともいえる追加緩和策に手をつけなかった日銀の姿勢に批判が集中したことがあるようだ。

●成長戦略とセットでインパクト狙う

 中堅証券の投資情報部では、きょう追加緩和が見送られたもうひとつの理由として「5月26~27日に開催される伊勢志摩サミット前後にも発表が予定されている1億総活躍社会の実現などを盛り込んだ“名目GDP600兆円に向けた成長戦略”などの経済対策と同時に追加緩和もセットで発表してインパクトを強めようという意図があるのではないか」としている。

●13週線、25日線を保ち反転に期待

 28日の東京株式市場の引け後には、円相場が1ドル=107円後半にまで上昇し、日本が大型連休中も予断を許さない状態が続きそうだ。ただ。急落した28日終値でも、日経平均は、13週移動平均線(1万6513円)や25日移動平均線(1万6629円)をかろうじて保っており、この水準でとどまれば反転上昇のタイミングが早まりそうだ。


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