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【特集】震災被害軽減に向けた技術の今 <株探トップ特集>

ライト <日足> 「株探」多機能チャートより

―免震や地盤改良など各社の取り組み―

 九州地方では、14日夜から最大震度5弱~7の強烈な地震が頻発し、熊本から阿蘇、大分へと震源域が広がると同時に甚大被害が拡大している。国土地理院は、16日未明に起きた熊本県を震源とするマグニチュード7.3の地震のエネルギーについて、阪神大震災の約1.4倍にあたるとする分析結果を発表している。週明け18日株式市場では、全般軟調地合いのなかにあっても、地震対策の必要性に改めて関心が集まった。

●免震関連で東亜建、オイレス工に注目

 建設株で注目したのが東亜建設工業 <1885> 。同社は海洋土木が本業で、陸上土木や建築も手掛けている。さらに、見逃せないのが耐震、制震や、地盤改良での技術力の高さだ。基礎と建物の間に「積層ゴム」をはさみ、建物を地盤と切り離すことで、建物に地震の激しい揺れを伝えない免震工法を開発している。基礎・地盤改良・法面など特殊土木工事大手のライト工業 <1926> 、法面保護工事などの地盤改良など大規模基礎工事専業大手の日本基礎技術 <1914> にも注目。

 一方、免震装置でトップシェアを占めるのがオイレス工業 <6282> 。自動車、産業機械に使用されるオイルレスベアリング(無給油軸受)では、国内で約50%のシェアを持ち、これを活用した、建築、土木用の免震、制震装置を製造している。矢作建設工業 <1870> は、外付けの耐震補強工事に特化している。独自の「完全外付耐震補強工法ピタコラム」で、校舎、病院、地方自治体の建物などで実績を上げてきたが、今後は、マンションや木造住宅にも耐震補強工事の裾野を拡大していく方針。もう一つ耐震性に優れた、非常に高い固定度を有する露出形式の柱脚工法の「ベースパック」を手掛ける岡部 <5959> も見逃せない。

地質調査は応用地質、川崎地質に出番

 さらに、大地震で焦点となるのが土壌の液状化現象だ。振動で海岸や河川の流域など比較的地下水位の高い砂地盤の液体化が被害を拡大している。応用地質 <9755> は地質調査・コンサルティング専門の業界最大手で、関連の計測機器も手掛ける。また、火山噴火予知連絡会によって選定された47カ所の火山について、24時間常時観測・監視する監視機器設置業務を開始している。川崎地質 <4673> [JQ]は、活断層、地震防災分野に注力しており、巨大地震、豪雨、火山などによる自然災害の減災・防災関連などの業務をはじめ、東京オリンピックインフラ関連業務の受注も目指している。

●地盤改良では地盤ネットHD、兼松日産農林

 構造計画研究所 <4748> [JQ]は、自治体の防災コンサルティングや、住宅大手メーカー向け耐震改修、構造設計コンサルティング業務が拡大している。地盤改良工事などには参入せずに、第三者的な立場から工事の不安感を払拭するための地盤解析や地盤調査に特化してサービスを提供している地盤ネットホールディングス <6072> [東証M]にも注目したい。

 このほか、液状化対策や耐震関連の工事を専業としている土木基礎工事の三信建設工業 <1984> [JQ]や、一戸建てや商業用地を対象にした地盤改良工事および地盤保証事業を展開しているサムシングホールディングス <1408> [JQG]、また保存処理した木製丸太杭による「環境パイル」を地中に打ち込み地盤を固める液状化対策の「環境パイル工法」の受注が順調な拡大を続けている兼松日産農林 <7961> にも注目だ。

●気象・防災観測機器は明星電気

 さらに、地震計などの気象・防災観測機器と人工衛星用観測機器を2本柱とするのが明星電気 <6709> [東証2]。同社は、地震観測の震度計や、緊急地震速報の受信ユニットなど、気象、防災関連の観測装置を手掛けている。なかでも、制御用地震計は、地震による被害の軽減を図るため制御対象機器の出来るだけ近くで地震を測定し、迅速な制御を行うことを目的としている。また、土石災害が予想される箇所に設置されたワイヤレスセンサーで災害発生を監視する「土石流発生監視装置」や、山岳渓流地域の降雨状況を無線テレメーターによって集中監視する「山崩れ発生予知施設」も手掛けている。


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