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【特集】山内俊哉氏【円高一時107円台、外為・株式市場の行方を探る】(1) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 外貨保証金事業部長)

 8日の東京株式市場は、外国為替市場で円高進行がひとまず一服状態となったことが好感され、幅広い業種に買い戻しが入り日経平均株価は小幅ながら続伸した。ただ、7日の海外為替市場では、1ドル=107円台後半まで円が急騰するなど、今後も円高波乱に翻弄される地合いが続きそうだ。そこで、今後の外国為替相場の動向と、その影響が予想される株式市場の先行きについて、第一線の市場関係者に聞いた。

●「4月下旬以降に円安反転も」

山内俊哉氏(上田ハーロー 外貨保証金事業部長)

 急激なドル安・円高が進行した理由には複数の要因がありそうだ。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言などで米国の早期利上げ観測が後退したほか、戻り基調にあった原油価格が下落に転じたこと、5月の伊勢志摩サミットを控え政府・財務省は為替介入に踏み切りづらいこと、などが挙げられる。また、タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を示す「パナマ文書」に絡み、大手欧州銀行が関係したとの報道も金融面での不安を懸念させる要因になったかもしれない。

 目先のドル円相場は、急ピッチの下げに対する戻りはあり得る。ただ、原油価格などに不透明感も残るだけに107円66銭の安値水準で底を打ったとはみていない。為替介入への期待も強いが、米国などから介入に対する理解を得られるのは難しい面はありそうだ。1ドル=105円を割り込み100円割れも視野に入れた円高となったような場合、ようやく為替介入に踏み切る地合いになるとみている。

 こうしたなか、伊勢志摩サミットが開催される5月下旬までを視野に入れたドル円相場のレンジは、下値は1ドル=105円、上値は同112円と予想する。今月下旬に向け一段のドル安・円高を探る場面も考えられるが、その後は反発基調に入ることが想定される。

 今後の重要なイベントは17日の増産凍結に向けた産油国会合と今月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合など。産油国会議では、その後に原油価格が下げ止まるかがポイントとなる。また、FOMC後、米国には利上げ観測が再度浮上する可能性があるほか、日銀会合では追加緩和が実施されることもあり得るとみており、この動きがドル高・円安を促す要因となりそうだ。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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