【特集】位置ゲー人気“急上昇”、「ポケモン」「パズドラ」で火 <株探トップ特集>
コロプラ <日足> 「株探」多機能チャートより
―イングレス成功で高まった注目、フジHDや任天堂など出資―
フジ・メディア・ホールディングスフジHD <4676> 傘下のフジテレビジョンが2月26日、米グーグル社発のベンチャー企業である米ナイアンティック(カリフォルニア州)に出資すると発表した。
ナイアンティック社は、グーグルマップの責任者だったジョン・ハンケ氏によってグーグル社の社内ベンチャーとして創業され、昨年10月にグーグル社が持ち株会社に移行したのに伴い独立したベンチャーで、任天堂 <7974> なども出資している。
同社の名前を一躍有名にしたのが、スマートフォン向けの拡張現実技術を利用した位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」で、全世界で1400万以上ダウンロードを数え、専用アプリは200を超える国と地域でダウンロード。日本では自治体がまちおこしに活用したことでも知られている。
「イングレス」は、スマートフォンに搭載されたGPS(全地球測位システム)などの位置情報を使い、2つの陣営が現実の街に設定された「ポータル」と呼ばれる拠点をネット上で奪い合う陣取りゲームだ。実際の場所を訪れながら、自分の陣地を広げていくことから、ダイエットやいい運動になるからと始め、はまる人も多い。フジテレビもナイアンティック社に出資し、位置情報ゲームに取り組むことで、新たなビジネスの創出を図る方針のようだ。
●プラットフォームとして活用
この「イングレス」のような位置情報ゲームへの関心が市場でも高まっている。特に関心が高いのは、「イングレス」をプラットフォームに用いて、任天堂が今年中にサービス開始を予定しているスマートフォン向けの位置情報ゲーム「ポケモンGO」だ。
「ポケモンGO」は、「いろんなところでポケモンを発見できる」というもので、現実世界を舞台として、ポケモンを捕まえ、交換、バトルしたりするといった体験をすることができるゲーム。プレイヤーは実際に家の外に出てポケモンを探したり、他のプレイヤーと出会ったりしながら楽しむことができるという。
また、オプションの「ポケモンGO PLUS」を利用することで、スマートフォンと連携し、近くにいるポケモンなどのゲーム情報をLEDランプと振動で知らせるほか、ボタンを押すことでポケモンを捕まえることができる。スマホの画面を見続けなくてもゲームを楽しめることから、利用者の広がりも期待できそうだ。
●モバファクなど位置情報ゲームに注力
上場しているゲーム会社のなかでも、位置情報ゲームに力を入れているのは、コロプラ <3668> とモバイルファクトリー <3912> [東証M]だろう。
コロプラでは、元祖位置情報ゲームといわれる自社開発の「コロニーな生活」をはじめ、他社タイトルも合わせて多種多様なゲームを提供する位置情報ゲーム特化型のプラットフォームを展開しており、位置情報ゲームの市場が拡大することによる恩恵は大きい。また、モバファクは、主力タイトルの「ステーションメモリーズ!」(駅メモ)のユーザー数が増加しているほか、駅や自治体などとの共同イベントを開催するなどして知名度が急上昇し、商機拡大にもつながっている。
さらに、ガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765> では、スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」を応用した新たな位置情報ゲーム「パズドラレーダー」を3月17日にサービス開始した。オールアバウト <2454> [JQ]も、昨年2月に位置情報ゲームを開発するファイブスターズゲームを子会社化するなどして位置情報ゲームへの傾注を強めている。
●「O2O」としての活用も進む
また、位置情報ゲームは、現実世界を移動して遊ぶことから、O2O(オンライン・ツー・オフライン)との相性が良い。前述のナイアンティック社にはソフトバンクグループ <9984> やローソン <2651> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 傘下の三菱東京UFJ銀行、伊藤園 <2593> 、丸善CHIホールディングス <3159> や文教堂グループホールディングス <9978> [JQ]などもパートナーに名を連ねているが、いかに「イングレス」からの顧客誘導効果が期待されているかの証左といえる。
このほか、O2O支援のアイリッジ <3917> [東証M]や同社と提携するデータセクション <3905> [東証M]、位置情報関連アプリに欠かせないBeaconを展開するアプリックスIPホールディングス <3727> [東証M]、ACCESS <4813> [東証M]なども関連銘柄として注目されそうだ。
株探ニュース