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【特集】現実買いへアクセル踏む、「燃料電池自動車」 <株探トップ特集>

トヨタのFCVコンセプトカー「TOYOTA FCV PLUS」

―国内大手が市販、究極のエコカー普及へインフラ整備も進む!―

 究極のエコカーと言われるFCV(燃料電池自動車)が本格的な普及へ向けて動き始めている。モーターを核とするパワートレインを含めて主要装置の小型化や高効率化がこの数年で急速に進化、普及に必要不可欠な水素ステーションについてもさまざまな企業や地域で動き始めており、関連銘柄は理想買いから現実買いに移行している。

●トヨタが先行、ホンダも3月から市販化

 FCVは、燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る自動車。走行時に発生するのは水蒸気のみで、大気汚染の原因となる二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、浮遊粒子状物質(PM)はまったく排出されないうえ、ベンゼンやアルデヒドなどの有害大気汚染物質の排出もゼロ。ガソリン内燃機関自動車のエネルギー効率が15~20%であるのに対して30%以上と非常に高いエネルギー効率も実現しており、究極のエコカーと言われている。

 自動車メーカーではトヨタ <7203> が先行しており、量産型として世界初のセダン型FCVとしてMIRAI(ミライ)を2014年11月18日に発表。税込み723万6000円で市販されており、現在注文を行っても19年以降の納期という人気となっている。これに加えて、移動するために燃料としてエネルギーを消費するだけではなく、発電機能を持ち電力供給源(電源)ともなるFCVコンセプトカー「TOYOTA FCV PLUS」を東京モーターショー2015で公開し話題を集めた。

 トヨタと同様、積極的にFCVの開発を行っているのがホンダ <7267> で今年3月10日に新型FCV「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」の販売を開始している。燃料電池パワートレインの小型化を図り、ボンネット内に搭載することで、セダンタイプのFCVとして世界で初となる5人乗りを実現。一充填での走行距離はゼロエミッションビークルで世界トップクラスの約750キロメートルを達成しており、国内では税込み766万円で初年度200台程度をリース方式で販売する方針。3月17日には第1号車を経済産業省に納車した。

 両社とも普及には量産体制の確立や低コスト化による販売価格の引き下げが今後の課題だが、国内の大手自動車メーカーが市販化に踏み切ったことは本格普及へ向けた大きな足掛かりになることは間違いない。

水素ステーションは岩谷産が国内初のコンビニ併設

 一方、燃料を補給する水素ステーションの整備はFCVが普及するうえで必要不可欠だ。四大都市圏を中心に水素ステーションの整備に取り組んでいるのが岩谷産 <8088> 。15年12月1日には福岡市内初の商用移動式水素ステーション「イワタニ水素ステーション 福岡県庁」が完成し、首都圏、中部圏、近畿圏、中国、九州を含めて11カ所の水素ステーションが完成。今年に入っても1月29日に空港施設に隣接したステーションとしては日本初となる「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」を開設、セブン&アイ <3382> 傘下のセブン‐イレブン・ジャパンとは、国内初となるコンビニエンスストア併設の水素ステーションを2月12日に東京都大田区池上と愛知県刈谷市で同時オープンしている。

 また、神戸鋼 <5406> は水素ステーションの実運用に近い形でさまざまな運転パターンや充填シミュレーションの検証が可能な「水素ステーション総合テストセンター」を機械事業部門の生産拠点である兵庫県の高砂製作所内に約5億円を投じて新設。同社は水素ステーション用圧縮機において国内定置式水素ステーション向けに17件の納入実績、約30%のシェアを有するトップクラスのメーカーで、今回の「水素ステーション総合テストセンター」の設置により製品開発をさらに進め、水素インフラ整備への貢献を目指している。このほか、出光興産 <5019> が同社初の商用水素ステーション「成田水素ステーション」を3月15日から営業を開始している。石油元売り大手が取り組みを活発化させてくれば、水素ステーションの整備も進みそうだ。


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