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【特集】お子さま向け「プログラミング教室」、習い事“新定番”に <株探トップ特集>

プログラミングスクールが人気(画像提供:CA Tech Kids)

―拡大するビジネスチャンス、サイバー子会社は3000教室展開へ―

 子供の習い事で「プログラミング教室」が新たな定番となっている。文章の読み書きや計算などと同じように、子供のうちに身につけておく基礎的な能力と考える親が増えているほか、「情報資源立国」に向けた国をあげてのIT人材育成という側面からもニーズが高まっている。盛り上がるプログラミング教育の需要を取り込もうとIT関連企業を中心に、さまざまな企業がカリキュラムを用意して子供の囲い込みを始めている。

●IT人材不足で育成急務

 プログラミングとは、コンピューターを動かすためのプログラムを作ること。この過程で論理的思考力や発想力、問題解決力が養われるといわれる。こうした能力の向上に関心が高まっている理由のひとつが、文部科学省が目指している大学入試改革だ。2020年にはセンター試験に代わる新試験を導入し、これまでの知識を問う形式から思考力や判断力、想像力が評価される形式に移行することが検討されている。文科省は12年度の学習指導要領から中学校の技術・家庭科の授業で「プログラムによる計測・制御」を必修化しており、15年4月には教員向けに「プログラミング教育実践ガイド」を公表するなど小学生での必修化も視野に入れている。

 また、IT化が加速するとともに、開発を担う人材をどう育てるのかが大きな課題となっている点も見逃せない。総務省は15年6月に公表した「プログラミング人材育成の在り方に関する調査研究」で、ITで世界をリードしていくためには、より多くの子供たちが早い段階からIT利活用の素地を磨くことが不可欠だと指摘。同省は16年度から地方の小学校でスマートフォンのアプリ開発手法などを学ぶプログラミング教育を支援する意向だ。プログラミング熱の高まりを背景に20年の市場規模は現在の10倍に成長するといった試算もあるなか、いち早く需要を取り込もうと各企業の取り組みが活発化している。

●サイバーは教室3000カ所へ

 サイバー <4751> 子会社のCA Tech Kidsは小学生向けプログラミングスクール「テックキッズスクール」を全国主要都市に展開。「スクールはどこも盛況」(広報・IR室)といい、15年夏に行った短期体験教室「テックキッズキャンプ」には1000人以上(14年夏は360人)の子供が集まった。こうした手応えを背景に、一般の人が自宅で教える自宅開講型「テックキッズホームティーチャー」を新たに開始しており、20年には全国3000カ所に拠点を広げる計画だ。

●学研HDは「もののしくみ研究室」を制作

 学研HD <9470> グループ会社の学研エデュケーショナルは15年10月、アーテック(大阪府八尾市)との協業でロボットプログラミング講座「もののしくみ研究室」を制作したと発表。16年4月から学習塾や学校に販売・提供する予定で、「多くの問い合わせをいただいている」(広報室)という。

●ディーエヌエは佐賀県の小学校で実績

 ディーエヌエ <2432> は佐賀県武雄市の公立小学校でプログラミング教室を行っているほか、教材アプリケーションも販売している。また、同社は次世代のITヒーローを発掘するオーディションを開いたり、15年にはプログラミング学習領域で学習塾やパソコン教室運営会社と相次いで提携するなど積極的な取り組みをみせている。

●阪急阪神は読売テレビなどと共同展開

 阪急阪神 <9042> は15年12月、読売テレビ放送(大阪市)やエイデック(大阪市)と共同で「プログラボ教育事業運営委員会」を組成し、ロボットプログラミング教育事業をスタートさせると発表。今年4月に兵庫県西宮市に1号教室を開設し順次、京阪神間でも展開する予定だ。

●カドカワはネット高校に導入

 カドカワ <9468> は16年4月の開校を予定しているネットの高校「N高等学校」にプログラミング教育を導入する。提携通学コースの「バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール」では初心者を1年間で即戦力のプログラマーに育てることを目標に掲げている。

●KNTCTやベネッセHDなどにも注目

 このほかでは、プログラミング教育向け商品を手掛けるソニー <6758> や、プログラミング体験教室を開いているNTTデータ <9613> 、小学生向けに1泊2日のプログラミング体験プランなどを提供しているKNTCT <9726> 、英語とプログラミングを親子で学べる場を提供しているベネッセHD <9783> の今後の展開にも注目しておきたい。


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