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【特集】大谷正之氏【新年度相場のリード役を探る!】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 25日の東京株式市場は、3日ぶりに反発し日経平均株価は心理的フシ目の1万7000円台を回復した。いよいよ来週は新年度相場に突入する。年初からの下落を経て2月半ばに底打ちを確認。現在、反転上昇トレンドにあるものの、3月に入ってやや停滞状態にあることも否めない。そこで、新年度相場の当面の見通しと、牽引役について第一線の市場関係者に聞いた。

●「選挙を前に経済対策が株価を後押し」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 新年度の東京株式市場は、前半にビッグイベントが集中するなか、外部環境の変化に影響を受けて神経質な動きとなる場面が想定されるものの、総じて底堅い推移となりそうだ。

 今後のスケジュールを展望すると、5月下旬の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催に前後して、(1)緊急景気対策、(2)日銀による量的追加金融緩和、(3)消費増税の先送り――の3つの政策が打ち出され、これら評価を問うかたちで7月に衆参同日選に突入する可能性が高まっている。

 それに先立って、4月半ば以降には17年3月期の企業業績見通しが出揃い、それを評価する相場がスタートすることになる。現状で新年度相場の牽引役として期待できそうなのは、当然ながら17年3月期の業績向上が想定できるもので、例えばセクターで示せば電子部品、精密機器、自動車といった業種のなかから業績回復が期待できる銘柄に注目したい。

 外部環境では、米国株式市場の今後を判断する場合、再利上げのタイミングが鍵を握ることになる。4月1日に発表される米3月の雇用統計は2月の数値が大幅改善をみせた反動もあり、やや穏健な内容が予想され、タカ派的な見方はやや沈静化しそうだ。したがって、次の利上げは6月が有力となり、当面大きな波乱は回避されそうだ。

 今後の日本株相場は、過度な不安感は解消されるものの、テロ事件の発生などを含む地政学リスクをはじめ、外国為替相場や原油価格、海外株式市場などの外部要因の変動で神経質な値動きを強いられる場面もありそうだ。4月中に日経平均株価1万8000円にトライする場面が想定されるが、そこを上抜けてくれば初夏に1万9000円台乗せの期待が高まりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心掛けている。

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