【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 戻り相場は茨の道
株式評論家 植木靖男
「戻り相場は茨の道」
●3月第2週の「誤算」、円高が重石に
桜の開花予想日が早まった。朗報である。開花で本格的に春到来を実感する人は少なくない。
ところで、株式市場にはいつ春が訪れるのであろうか。
振り返ると、日経平均株価は3月に入って1、2、3、4日と今年に入って初めて3日連騰、それに1日追加されて4連騰をみせた。これで、人体でいう体幹が整ったとみてよい。ところが、期待された第2週はなんと3日連続安だ。まったくの誤算といえる。
原油価格の底入れ機運、懸念されている中国経済が金融緩和や財政面からの景気刺激策が期待されるなど、これまで株価の足を引っ張っていた不安材料が遠のいたことで安心感が生じていたなかでのまさかの反落である。
確信犯は円高である。確かにここへきて円安への動きは鈍い。
米国FRBの4月利上げが難しい、との見方が理由とされるが、それはどうも取ってつけたようなもの、円高を誘っているのは、一言でいえば円が安くなり過ぎたからである。
今後事ある毎に円高が進むリスクがある。欧州ECBが追加金融緩和を決定したが、一時は円はドルに対し急落したものの、急転直下円高になってしまったことなど、その象徴である。
●求められる景気対策、上値は限定的
だとすると、今後、株価が戻り相場を明確にするには、為替が円安にならずとも、財政面からの景気刺激策を図ることが肝要であろう。
折しも5月にはサミットがあり議長国はわが国である。また参院選もある。現状、アベノミクス失敗説が囁かれるなか、政府としては思い切った景気対策が求められよう。議長国としての面子もある。
かくして、戻り相場は十分期待できると考えられる。
とはいえ、3月第2週の3日連続安はそれなりに重しになることは否めない。この下げによって、今後戻り相場はあるにしても茨の道であることが示唆されたとみてよい。
そもそも、あくまでも戻り相場であり、本格上昇相場ではない。したがって上値も限られよう。すでに一番、二番、三番天井を経ての上昇となることを忘れてはならない。ちなみに三番天井は1万7865円(終値ベース)である。
物色の方向は為替の影響を受け難いソニー <6758> の台頭や小野薬 <4528> など医薬品株が堅調であるところから、やはり内需株とみてよさそうだ。
2016年3月11日 記
株探ニュース