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2016年03月11日19時30分

【特集】桂畑誠治氏【日米欧・金融会合後のマーケット!】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 欧州中央銀行(ECB)は10日、マイナス金利の拡大と量的緩和策を合わせて実施した。ECBドラギ総裁による利下げ打ち止め示唆発言を受けて、東京株式市場は朝方売り優勢となったものの、予想を上回る追加緩和策への評価が徐々に広がるにつれ、日経平均株価は後場に入って前日比プラス圏へと切り返した。来週前半に相次いで開催される日米の金融政策会合に投資家の関心が集中している。そこで、第一線の市場関係者に、日米欧の金融政策会合後の相場見通しを聞いた。

●「日銀の金融政策決定会合が分水嶺に」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 欧州中央銀行(ECB)理事会で追加緩和に踏み込んだことは、その内容も含めて評価できる。世界的な流動性を担保する材料として株式市場にはポジティブに働く。10日の欧州株市場は記者会見でのドラギ総裁の発言を受け、値を崩す展開となったが過剰反応といってよく、早晩見直し買いというかたちで切り返す公算が大きそうだ。

 要注目なのは、やはり15日に結果が判明する日銀の金融政策決定会合であろう。ここがひとつの分水嶺になると考えている。今の時点では市場のコンセンサスは「現状維持」であろうと思うが、個人的には日銀が動く可能性が50%くらいあるとみている。マイナス金利が実施されたのが2月16日からであり、今はその経過観察段階にあることで、ここでマイナス金利に手をつける可能性は、ほぼないといってよさそうだ。しかし、3月期末株価を意識せざるを得ない現状では、ETFの買い入れ枠拡大を軸とする量的緩和をサプライズで行う可能性は少なからずある。

 その場合は、例えばETFの買い入れ枠を現在の3兆円から6兆円にするくらいの積極性があってもいいと考えるが、いずれにしてもここで“小出し”とみなされないような量的緩和策を打ち出せば、株式市場は大きく上値を指向することになるだろう。一方、仮に何も出なかった場合は、為替の円高基調を絡めて下値模索の動きも覚悟せざるを得ない。

 一日遅れて結果が発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げの見送りが濃厚だが、もちろん市場は織り込み済みであり、ポイントとなるのはイエレン議長の記者会見を受けて今後の金融政策の見通しをマーケットがどう受け止めるかにある。「年内利上げはあと1回」というようなシナリオを想起させる過度なハト派的発言を期待しているとすれば、それは失望売りの火種ともなりかねず注意が必要だ。このFOMCを境にドル高・円安圧力がかかることも想定され、為替動向に敏感な東京市場にとっては追い風となることも予想される。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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