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2016年02月23日18時30分

【特集】「インバウンド商戦に異変は?」(2) J.フロント リテイリングに聞きました! <直撃Q&A>

小野圭一氏(大丸松坂屋百貨店 インバウンド担当部長)

 中国人旅行者の「爆買い」が話題を集めてきたインバウンド商戦だが、一部では「徐々に変化が出始めている」との声も囁かれ始めた。中国株安や円高などの影響も懸念されるなか、これからも高水準のインバウンド需要は続くのか。Jフロント <3086> の大丸松坂屋百貨店 営業本部MD戦略推進室 MD・チャネル開発統括部 インバウンド担当部長の小野圭一氏に今月7日から13日の中国「春節」商戦の結果とこれからのインバウンド需要の見通しを聞いた。

●小野圭一氏(大丸松坂屋百貨店 インバウンド担当部長)

Q1 インバウンド消費全体の動向を教えてください

 「百貨店売上高の推移でみると1997年から減少していましたが、2011年くらいから下げ止まりの傾向にあります。これはちょうど、訪日外国人観光客が増えてきたころと重なっています。当社の免税店売上高は12年の33億円から15年では333億円と3年でおよそ10倍に膨らんでいます。全体の売上高に対する構成比は5.2%と増加しています。インバウンド消費はほぼ東京、大阪に集中しています。国別ですと中国人が6割、その後は香港、台湾、韓国、タイと続いています。高級インポートブランドの人気は健在ですが、化粧品の伸びも光っています」

Q2 今年の春節の傾向に変化はありましたか?

 「観光客数は増加していますが、1人当たりの単価は下がっています。この期間内の免税店売上高は15年に比べほぼ横ばいでした。従来型の団体旅行よりも家族だけや個人旅行で訪れる外国人が増えています。中国人の爆買いは一時ほどではないのですが、この背景として、1度目の来日は親戚、近所へのお土産を買うことが主な目的でしたが、2度目以降となるとじっくり時間をかけて観光やショッピングを楽しみたいという気持ちがあるようです」

 「購入品は高額品の伸びは鈍化していますが、ビューティー・アドバイザー(BA)のカウンセリングで化粧品を購入する流れが増えています。1時間近く自分自身の肌に合う化粧品を試せるサービスが自国にないのでアジア人女性の間では人気となっています。婦人の肌着や靴のフィッティングにも同様のことが言えます。他には、あわび・貝柱といった高級海産物、それに鍋や食器、魔法瓶、子ども服の売り上げも伸び、購入品の裾野が広がってきていると思います」

Q3 化粧品などの具体的な売れ筋商品を教えてください

 「国産ブランドが良く売れています。資生堂 <4911> の高機能化粧品『クレ・ド・ポー ボーテ』やコーセー <4922> 傘下で高級化粧品を販売する『アルビオン』などのブランドが人気です。カウンセリング客が増加したこともあり、同じく化粧品ブランドの『シュウ ウエムラ』の売れ行きも伸びています。また、当社グループの関連会社パルコ <8251> では、訪日外国人に人気のキャラクターカフェで若い観光客が写真を撮ってインスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にアップすることが話題となっています」

Q4 中国経済変調の影響は出てきていますか?

 「昨年夏以降の中国株安の影響はあまりないと考えています。それよりも人民元の為替レートに変動があると消費内容に変化は出てきます。通貨レートが切り下げられたことで今年は高額品の購入額が減少しました。今後も為替は注視していきます」

Q5 これからのインバウンド商戦の展望を教えてください

 「欧米の高級百貨店などの売上高に対する免税品関連の構成比は20%と言われています。当社は5%なので、需要拡大の余地はまだまだあります。リピーターを増やすために店内のインフラ整備や独自的な販促サービスを進めています。昨年10月から中国で人気があるSNSサービス『Wechat』を用いた新たな決済システムを全国の化粧品売り場で導入しました。そのアプリからバーコードを読み取るだけで決済が可能となります。同時に大丸松坂屋のアカウントが登録され、会員数は現在約5000人となっています。会員に対して今後は販促活動を行っていきます」

 「化粧品のカウンセリングやフィッティング体験、ネイルケアといった体験型の『コト』消費にトレンドが変化しています。コト消費は『感動体験』につながっており、ここに百貨店がインバウンド需要を掘り下げる余地があると思います。研究などを重ねながら新たな市場の開拓を目指しています」

(聞き手・吉野さくら)

●J.フロント リテイリング株式会社


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