市場ニュース

戻る
 

【特集】「インバウンド商戦に異変は?」(1) ドンキホーテHDに聞きました! <直撃Q&A>

服部将允氏(ドンキホーテホールディングス インバウンド戦略室室長)

 中国人旅行者の「爆買い」が話題を集めてきたインバウンド商戦だが、一部では「徐々に変化が出始めている」との声も囁かれ始めた。中国株安や円高などの影響も懸念されるなか、これからも高水準のインバウンド需要は続くのか。ドンキHD <7532> のリテール・マネジメント取締役でインバウンド戦略室室長・服部将允氏に今月7日から13日の中国「春節」商戦の結果とこれからのインバウンド需要の見通しを聞いた。

●服部将允氏(ドンキホーテホールディングス インバウンド戦略室室長)

Q1 春節商戦の状況はいかがでしたか

 「2月に入ってからのインバウンド関連の売り上げは昨年同期に比べて2倍程度増えています。中国の旧正月に当たる『春節』に限っても、昨年(18日~24日)とは日にちがずれていますが、大体2倍程度の伸びとみています。14年10月から免税制度自体が変更になっていますので、単純比較できませんが、昨年と一昨年との比較では約9倍の伸びでした。高水準な数字が、今年はさらに2倍に伸びています。その意味で、春節は順調だったと思います。もちろん春節は重要なのですが、10月の中国の国慶節の連休や、日本の桜の時期、夏休みの需要も大きいのです。インバウンド関連の売り上げは毎月毎月伸びているというのが実感です」

Q2 中国株安や円高の影響はありませんか

 「免税関連の売上構成比は15年は5.2%程度ですが、この構成比は順調に伸びています。その割合が減っているのなら、中国景気悪化などの影響を心配するのですが、その傾向はみられません。このため、中国経済の影響はさほど感じてはいません。また、日本に来るアジアの観光客の多くはショッピングを楽しみにしています。円安は訪日観光客を増やすキッカケになったとは思います。しかし、いまは安いものを求めるというより高品質で安心安全の『日本ブランド』を買いたいという傾向が強いという感じではないでしょうか」

 「春節期の客単価は若干下がっていますが、これは訪日外国人の客層が多様化しているためだと思います。中国人だけではなく、同じく増加基調にある韓国や台湾の観光客は日用品を求める傾向があります。客単価は下がったというより薄まったという印象です。訪日外国人数は増えているため、売り上げは伸びています。当社は20年に免税関連の売上構成比を10%に引き上げることを目標としています。インバウンド需要はこれからも伸びるとみています」

Q3 訪日外国人の売れ筋商品に変化はありますか

 「非常に伸びているのが日用品で、化粧品、薬品、洗剤などがよく売れています。中国人で炊飯器を何個も買っていくような方はいますが、いまは薬品を10個も20個も買っていくような動きが目立ちます。眼薬や鎮痛消炎剤の『ロイヒつぼ膏』(ニチバン <4218> )、それに「休足時間」(ライオン <4912> )など、食品なら『キットカット』や『ポッキー』(グリコ <2206> )などの人気は高いですね。青汁など健康食品も人気ですし、化粧品では資生堂 <4911> やカネボウなど日本ブランドを買い求める動きがあります。美容家電も依然売れています」

Q4 なぜ、訪日外国人にドン・キホーテは人気なのでしょうか

 「当社は都心などで深夜営業を行っている店舗が多く、外国人旅行者の夜間のショッピングニーズに合った面があると思います。そして何よりも、『CV(コンビニエンス)+D(ディスカウント)+A(アミューズメント)』という当社のコンセプトが受け入れられたことが一番大きいと思います。夜店のような賑やかさが、海外の旅行者に受けており、楽しんでもらう店作りが成功しているのだと思います。このショッピングの楽しさに加え、商品の豊富な品揃えや量を提供できる点が強みだと思います」

(聞き手・岡里英幸)

●ドンキホーテホールディングス


株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均