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【特集】花粉症本格シーズン到来、関連銘柄に注目 <株探トップ特集>

鳥居薬品の週足チャート 「株探」多機能チャートより

―労働損失数千億円、対策急務―

 「春一番」とともに本格的な“花粉飛散シーズン”が到来している。花粉症は、いまや国民の20%以上が罹患し、毎年その症状に悩まされるという大きな社会問題。労働損失は数千億円に達するともいわれており、その対策が急務となっている。今年の花粉飛散の動向と対策関連企業を探った。

 日本気象協会が17日に発表した「2016年春の花粉飛散予測(第4報)」によると、東京都千代田区(大手町)で13日に飛散開始を確認し、春一番が吹いた14日はやや多く飛んだとしている。また、2月下旬にかけての気温は、変動があるものの平年並みか、平年より高くなる所が多い見込みで、九州から関東地方にかけて、スギ花粉の飛散数が増加し、北陸や東北地方の一部も飛散開始となるとしている。

●ピーク時期は平年並み、東京は3月上~中旬の見込み

 ピーク時期の予想について同協会では、スギ・ヒノキ花粉の飛散数がピークになる時期について、2月と3月の気温は全国的に平年並みか高い予想だが、ピーク時期を早めるほどではない見込み。このため、スギ・ヒノキ花粉それぞれのピーク時期は例年並みとしている。スギ花粉のピークは、福岡は2月下旬から3月上旬、高松・広島・大阪・名古屋・東京は3月上旬から中旬の見込み。金沢と仙台は3月中旬から下旬にピークを迎える。

●鳥居薬は独自の舌下減感作療法薬

 鳥居薬 <4551> の舌下減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「シダトレン・スギ花粉舌下液」は、14年10月から販売を開始しており、今年も本格需要期を迎える。花粉症の治療といえば、抗ヒスタミン薬を飲むのが一般的だったが、これはアレルギー症状を抑える対症療法に過ぎない。

 一方、舌下減感作療法は、体内に時間をかけて微量の抗体を取り込ませ、症状の軽減・寛解を目指す。つまり「花粉症を治す」ための治療法だ。舌下に投与する減感作療法薬として開発されたのが、「シダトレン・スギ花粉舌下液」であり、一定の講習を受けた医師が治療を行う。シダトレンは、国内で初めて承認された、舌下に投与する減感作療法薬で、従来から実施されてきた皮下注射による減感作療法と比べ、注射による痛みもなく自宅で治療ができるのが特徴。

●マスク関連ではダイワボウ、日清紡HD、ユニ・チャーム

 ダイワボウ <3107> が開発・提供している「アレルキャッチャー マスク」は、消臭効果、抗アレルギー物質、抗菌防臭効果の3つ機能が評価され、花粉症対策だけでなく、インフルエンザやPM2.5(微小粒子状物質)向けでも効果発揮が期待されている。日清紡HD <3105> は、日立 <6501> 傘下の日立アロカメディカルと共同で、「ガイアコット」というゼオライト素材をベースに、銅イオンの強い抗菌性と高い悪臭吸着性を併せ持った花粉症対策向けの「ゼオライトマスク」を開発・提供している。ユニチャーム <8113> の製造・販売する「超立体マスク」は、三層構造の高密度フィルター、ノーズフィット搭載の超立体構造、保湿効果もある口元空間と通気フィルターが特徴。

●JINは花粉対策メガネで新製品

 JIN <3046> は、1月28日、花粉対策用アイウエアシリーズの最新モデル「JINS花粉CUT SLIM(スリム)」、「JINS花粉CUT CLEAN(クリーン)」を発売した。SLIM(スリム)は、普通のメガネに近い自然な見た目の花粉対策メガネ。フレーム上部と横の透明フードを浅く小さくし、テンプル部分をスリムに設計した。フレームのカーブを顔に沿うように設計したことで、フィット感も向上させている。スリムデザインながら、花粉カット率は最大98%を実現している。

●症状軽減では、小林製薬、フマキラ、ロート

 小林製薬 <4967> は、目の花粉症対策向けの洗眼液「アイボン」や鼻洗浄液「ハナノア」、保温効果を重視した「のどぬ~るぬれマスク」などを手掛けている。フマキラ <4998> [東証2]は、殺虫用品イオンで花粉の侵入を防止するスプレータイプの「アレルシャット」シリーズを開発・製造。また同社は、鼻の入り口に塗ることで花粉をブロックするクリームタイプの「花粉 鼻でブロック」も提供している。ロート <4527> は、大衆目薬の大手で花粉対策のスタンダードな目薬として定着している「アルガード」ブランドをはじめ、花粉症の低年齢化に対応し「アルガード こどもクリア」も発売。参天薬 <4536> は、花粉による目のかゆみ・充血を抑える点眼薬「サンテALクール2」や、さし心地がやさしいタイプの点眼薬「サンテALn」を販売している。

●空気清浄器はシャープ、ダイキン、象印

 空気清浄器関連では、シャープ <6753> が独自技術のプラズマクラスター(プラズマ放電によりイオンを作り出し放出。浮遊カビ菌などを空中で除去し、浮遊ウイルスの作用を抑え、浮遊カビ菌などを空中で除去する)を生かした加湿空気清浄器が、車載用エアコンへの導入などもあり、好調な推移をみせている。ダイキン <6367> は、外の空気中の水分をエアコンが取り込み給水をしなくても加湿できる「無給水加湿」の独自機種を開発している。象印 <7965> [東証2]の加湿器は、フッ素加工内容器で汚れがこびりつきにくいうえに、面倒なフィルターが無い広口構造で手入れが簡単なのが特徴。

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