【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 底もみ段階に移行か
株式評論家 植木靖男
「底もみ段階に移行か」
●意味ある「1月13日の496円高」
年が明け冬将軍が駆け足でやってきた。と同時に、株価も凍えから逃れようとするかのように下山を速め、日経平均株価は昨年9月29日安値1万6900円処に接近している。
市場では下落の背景を、中国人民元の下落、上海株の急落、原油安、中東からの株式売却懸念、これらの集約としての円高を飽きることなく繰り返し指摘している。テレビのバラエティ番組でも報道される。こうなると、もはや株価の材料としては陳腐化していることは明白である。
それでも1月13日の急反発後の翌日暴落した。新たな不安材料は見当たらず、「なぜ?」との声が聞こえてくる。投資家の失望はここに極めりである。これは、まさに投資家のみが知る恐怖感によるもので、成り行きで投げてきたようだ。信用買い残3兆2000億円が震え上がった感がする。
だが、もし投げが大きくなったとすると、おそらくこの段階では売るべきものは売り切ったのではないか。今後は急速に売りが細り、売買高は減少するのではないか。
1月13日の496円高は決して無意味なものではないだろう。これがあって、今後は底もみの段階に入ると予想される。
●一番手、全般逆行銘柄に注目
大胆にいえば、底もみの過程ではときに昨年9月29日安値1万6900円処を割ることもあろうが、とにもかくにも底値圏内に入ったというべきであろう。典型例として13年5月の急落後、6月に底もみしたのと同じような展開が予想される。
天底は材料によって決まるのではなく、あくまでも市場人気で決まるのは万古不易の大原則である。とかく、こうした底値近辺で不安材料をことさらにあげつらう風潮があるのはいただけない。投資家は、天底では決して材料に振り回されないように気をつけたい。
ところで、昨年6月高値を一番天井、同年12月高値を二番天井とすれば、仮に2月に三番天井を見にいくとすれば、当然、二番天井2万0012円より下位であろうし、日柄でいえば1ヵ月ぐらいだろうか。“鬼より恐い二番天井”と言われるが、三番天井はもっと恐いのはいうまでもない。
さて、物色は定かではないが、売買高が減る以上、大型株でなく中小型株主導であろう。いつものことながら、全般安に逆行して上昇する一番星ならぬ、一番手銘柄が存在する。早くも関電化 <4047> 、GMO-PG <3769> などが人気を集めているが、売買高を伴った全般逆行銘柄に注目したい。
2016年1月15日 記
株探ニュース