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【特集】住宅株から目が離せない“3つの理由” <株探トップ特集>

大和ハウス工業の日足チャート 「株探」多機能チャートより

―税制変更で多数の市場刺激材料―

 2016年の注目セクターとして、住宅関連への関心が高まっている。17年4月の8%から10%への消費税率引き上げに伴う駆け込み需要発生が期待されるほか、住宅に関する税制の変更などで駆け込み需要の反動も小さいとみられており、関連銘柄は好環境を享受しそうだ。

●17年4月の消費税率アップで特需に期待

 消費税率アップでは、住宅購入において、16年9月末までに契約を済ませた場合、引き渡しが17年4月以降であっても旧税率(現在の8%)が適用される。また、16年10月以降に契約を済ませても、17年3月末までに引き渡しを受ける場合については旧税率(同)が適用される。

 14年4月に消費税率が5%から8%へ引き上げられた際にも13年9月にかけて住宅市場には特需が働いたが、今年に関しても期待されている。

●贈与税の非課税枠拡大で反動減の影響も小

 一方、消費税率引き上げによる特需の反動減が懸念される10月以降は、贈与税の非課税枠拡大が住宅市場を下支えしよう。

 例えば、住宅取得のための資金を贈与する場合の非課税枠は16年10月以降17年9月まで、一定の基準を満たす住宅(省エネ住宅や耐震性の高い住宅)で3000万円(現行は1500万円)まで大幅に拡充される。現行制度下でも、「戸建て住宅購入者の約4人に1人の割合でこの制度を利用している」(業界関係者)としていることから、認知度が高まればさらに利用が増えるとみられ、反動減の影響も小さくなりそうだ。

●通勤手当の非課税限度枠引き上げで3世代住宅増へ

 これらに加えて、通勤手当の非課税限度額を月額15万円(現行10万円)に引き上げることも、地方に住宅を建てるきっかけとなるとみられている。

 このほか、個人が所有する居住用の家屋に3世代同居改修工事を含む増改築をして、16年4月1日から19年6月30日までの間に居住用とした場合、所得税の税額控除を受けることができることも、3世代同居住宅の増加につながるとみられ、市場に好影響を与えよう。

●大手メーカーの受注は回復傾向が続く

 一方、足もとをみると、大手住宅メーカーの受注動向では、昨年春ごろから回復傾向が鮮明になっている。大和ハウス <1925> の4月から11月までの住宅受注は前年同期比4%増と計画の3%増を上回って推移した。積水ハウス <1928> の12月の戸建て受注も前年同月比2%増と伸長。住友林 <1911> の戸建て注文住宅受注では12月は前年同月比1%減だったが、累計では6%増といずれも持ち直しが顕著となっている。

 これに加えて、前述のような税制面からの後押しもあり、各社とも受注堅調の継続が期待できる。飯田GHD <3291> 、ミサワホーム <1722> 、タマホーム <1419> 、フジ住 <8860> などにも恩恵が波及しそうだ。

●空き家対策でリフォーム業界にも恩恵

 また、税制改正では、空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例も創設された。16年4月1日から19年12月31日までの間に譲渡した場合、譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3000万円特別控除を適用することができるというもので、空き家の譲渡で再活用が進めばこれに伴うリフォームの発生が期待できる。

 これにより恩恵を受けそうなLIXILグ <5938> をはじめ、TOTO <5332> 、ノーリツ <5943> 、ウッドワン <7898> 、タカラスタ <7981> などにも注目したい。

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