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2016年01月12日19時00分

【特集】高岡隆一の【今日のポイントとヒント】 「アベノミクスに注意信号」

高岡隆一(株式評論家)

◆短期のテクニカル面では一旦、日経平均株価の下げ止まりも考えられるが、中長期での経済成長には懸念を強めている。

◆トヨタの労働組合による今期のベア要求額は3000円と昨年の半分程度だという。日産の労組も3000円を要求する方針とされる。これでは日本の潜在成長率(約0.5%以下)を上回る成長は無理。何れ「消費税10%+α%」の時代が近々にもやって来る。

◆同時並行的に人口は減り、納税者も減るのだから税収も減る。苦しい台所を回すために再増税。これを受けて、「景気は悪化」→「税収不足」+「人口減」→「再増税」、こういう最悪の循環にはまり込む。いや、もう既にはまり込んでいると言ってもよいだろう。

◆この悪循環を断ち切るのがアベノミクスであり、その力の根元は設備投資と給料アップ。これが実現できるまでの時間稼ぎが日銀の金融緩和、こういう構図なのだから、日銀任せは何れ破綻、企業努力が必要な局面なのだ。

◆そして、その口火がベアとなるはずだった。だが、会社が飲めそうな給料アップを最初に提示する弱腰では、従業員の安心感は芽生えるはずもなく、2017年の消費税アップに向け防衛的な消費行動を強めるだろう。これは回り回って企業の売上ダウンにつながり、翌年、翌々年の従業員給与にとってマイナス材料となる。これがさらなる消費を抑える方向に作用、アベノミクスは再びデフレ方向に動き出す日本経済に飲み込まれて破綻する……。

◆これは最悪のシナリオの一つ。しかし、過去最高益を更新する自動車産業が、今給与アップに躊躇するなら、いつ上げられるというのか。人民元の切り下げ、新興国経済の停滞、資源安、増えない給料と増税、日本株が元気を取り戻すのは相当に先になるかも知れない。

◆今年のスタンスは、突っ込みを買っても欲張らずに吹き値売り。日経平均の高値更新などは期待せず、それでも利益が出るような売買で凌ぐ。または、在庫(株券)を翌日まで持ち越さないデイトレに徹し、1日1万円でも5万円でもとにかく勝ち癖を付ける。リスクとなる株を持ち越さない。こうしたスタンスが堅実と、この1週間でより強く感じた。

2016年1月12日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報

株探ニュース

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