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【経済】世界経済崩壊予想はノストラダムスの大予言と同じ


年末が近づくといつものように来年の予想が様々出てくる。その中で定番化しているもの一つに、「世界経済は崩壊する」といった経済板終末論がある。「ノストラダムスの大予言」のように、破滅的な予想を好む一部の層に需要があるのか、センセーショナルな言説に惹かれるのか、一定の需要がある模様である。安倍政権やアベノミクスに反対する人々にも好まれる傾向があるようだ。日本ではバブル崩壊で20年以上も経済が低迷したイメージが未だに強く残っていることが大きいのかもしれない。
 しかし、長期的な観点からは世界経済の崩壊の予想は必ず外れることになる。
 そもそも、長期的にみて(例えば100年単位)世界経済の規模が拡大し続けているのは人口が爆発的に増加していることによる。人口という経済主体が増えれば経済の規模は拡大するのである。テクノロジーの進歩で食料が大量に生産できるようになったこと等も大きい。人口の増加とテクノロジーの進歩は車の両輪のようなもので、これにより世界経済の規模も拡大の一途をたどっているのである。
 恐慌が起ころうと、幾多の戦争が起ころうと、政治体制が変わろうとテロが起ころうと、人口の増加とテクノロジーの進化によって、それらを乗り越えて世界経済の規模は拡大してきた。
 金融市場では短期的には暴騰と暴落、金融危機などが繰り返し起きてきたが、世界経済が崩壊するには至らなかった。なお、最近ではリーマン・ショックにより世界経済は崩壊するなどと言われたりもしたが、米国はわずか5年余で立ち直った。
 現在世界人口はさらに加速度的に増加しており、先進国の人口以上の膨大な人口のなかから先進国並の生活をする中間層が大量に生みだされている。また、テクノロジーの進歩も加速しており、バイオや遺伝子分野での研究が人類の様々な問題を解決しつつある。
 世界経済が崩壊するという予想は、この現状に対して、人口の増加が止まり減少に転じる、例えば正体不明の疫病が大流行するとか隕石が落ちてくる等の異常な事態が生じることや、テクノロジーの進歩がピタリと止まることを予想しているということになるのである。
 その意味で、世界経済崩壊予想はノストラダムスの大予言と同じで、人々に終末的な恐怖を呼び起こすが、ちょっと有り得そうにないという言説ということができよう。
 両者の違いは、ノストラダムスの大予言は1999年を境にピタリと話題になることはなかったが、世界経済崩壊の予想は期限がないためこれからも毎年予言されることになるところだろう。また、ノストラダムスの大予言では大学の研究者が真面目にこれを唱えるということはなかったが、世界経済崩壊予想では大学教授のような肩書を持つ人が唱えていたりする。経済学の分野では様々な主張が割りと大らかに許されており、たとえ10年以上にわたって毎年予想を外したとしてもあまり非難されたりはしないようである。
《YU》

 提供:フィスコ

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