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【市況】中村潤一の相場スクランブル 「強運ムード漂う、郵政3社の船出」

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

株式経済新聞 副編集長 中村潤一

●陽の傾きで変化する実体と影

 満を持して船出を迎えた郵政3社。公開価格が株価指標面からいずれも低めに設定されていたことに加え、前日の米株高や円安、原油市況高というリスクオンのマーケット環境にも強運を感じさせます。ただ、割安でも成長性に乏しいというレッテルが張られていたことを考えると、出足は実体に対し人気が先行している印象は受けます。

 TOPIX連動でファンドの組み入れ需要が発生するなど、今後も株式需給面での追い風は意識されるところ。当然ながら市場の注目度も当面失われることはなく、セカンダリーで参戦する投資家は、焦らず冷静に買い場を探る姿勢が求められます。

 個別企業の株価形成の原理をひとことで表現すれば、業績が実体で株価はその影のようなものでしょう。基本は当該企業のファンダメンタルズが株価に投影されるわけですが、その時の経済実勢や株式市場の地合い、ムードなどマクロ面の要素が絡み合い、“陽の傾き具合”によって影の長さはいかようにも変わります。

 一時的にそれはミスプライシングにつながりますが、語弊を承知で言えばある意味、株式投資とはミスプライシングの過程でいかに利ザヤを取るかというゲームでもあるのです。

 最近のアップバンク <6177> [東証M]をはじめとする新興市場の直近IPO銘柄の荒い値動きは、その典型といってもよく、近い将来に反動がくることは分かっていても、足もとの現在進行形の株価トレンドに乗ろうとする動きは、健全な投資戦略の一環ともいえます。

 東京市場は再びハイボラティリティなジェットコースター相場で、個人投資家にとって腰を落ち着けた投資が難しい地合いに見えますが、それでも年末に向けて相場のベクトルは上値を指向しているとみています。米国の年内利上げの有無はともかく、中国の金融緩和に続き、ECBが12月の金融緩和の可能性を改めて示唆するなか、ワールドワイドに流動性期待が再燃していることがその背景。日経平均2万円の高峰も早晩視界に入りそうです。

 (11月5日 記、次回は11月18日掲載予定)

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