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【特集】新投資テーマ「フィンテック」覇者を追う <株探トップ特集>


―金融新トレンドに参入企業続々―

 金融とIT(情報技術)を融合した「FinTech(フィンテック)」が、金融業界の新たなトレンドとなっている。ベンチャーを中心に多くの企業が参入し、既存の金融サービスを代替するさまざまなサービスが登場。有望分野として関心が高まっており、株式市場で次のテーマに浮上する可能性が出てきた。

●付加価値を見出す動きが活発化へ

 フィンテックは、ファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語で、スマートフォンや人工知能(AI)などIT技術を駆使した金融サービスを指す。新しいソフトやソリューションを開発したベンチャー企業などが高利便・低コストの金融サービスを提供する事例が増えており、ヒットサービスを世に送り出すことができれば既存の金融機関と競争する力を持つことができるとあって注目を集めている。

 「もともと莫大な情報を効率よく安全に処理しなければならない金融の分野でITの活躍余地は大きい。ITを活用することで金融領域に新たな付加価値を見出すような動きは、今後さらに活発化することが予想される」(中堅証券アナリスト)だけに、フィンテックを巡る動きから目が離せない。

 「フィンテック」とひとくちに言っても複数の分野があり、それぞれの主な関連企業をまとめてみた。

●「決済関連」

 代表銘柄としては、8月28日に東証マザーズ市場に新規上場したメタップス <6172> [東証M]が挙げられる。同社が手掛けるオンライン決済サービス「SPIKE」はサービス開始から約1年3ヵ月で登録アカウント数が10万件を突破しており、その成長性には目を見張るものがある。

 EC(電子商取引)業者に決済処理サービスを提供するGMO-PG <3769> や、電子決済端末のフライト <3753> [東証2]、決済処理システムのインテリW <4847> [JQ]なども決済関連銘柄としてマークが必要だ。

●「資産管理」「会計関連」

 個人向けの自動家計簿・資産管理サービスを手掛けるマネーフォワード(東京都港区)は積極的なテレビCMなどで知名度が急速に高まっている。同社にはソースネクス <4344> やクレセゾン <8253> 、静岡銀 <8355> などが出資している。

 資産管理アプリのマネーツリー(東京都渋谷区)は4月にTKC <9746> と業務提携。10月には3大メガバンク系ベンチャーキャピタルが相次いで出資した。

 クラウド会計ソフトのfreee(東京都品川区)にはリクルート <6098> が出資。クラウドソーシングを活用した経理サービスのメリービズ(東京都港区)の主要株主にはオプトHD <2389> 系のベンチャーキャピタルが名を連ねている。

●「セキュリティー関連」

 インターネットバンキングの不正送金を防ぐシステムを開発したバンクガード(東京都武蔵野市)ではトッパンフォ <7862> がカードの印刷・配送を、三菱紙 <3864> がリライタブルカードの印刷を担当。生体認証を使った決済サービスなどを手掛けるLiquid(東京都渋谷区)は3月、トレイダーズ <8704> [JQ]と合弁会社を設立している。

●「仮想通貨関連」

 メタップスが「SPIKEコイン」を手掛けるほか、リクルートは1月に傘下の投資会社を通じてビットコイン売買のビットフライヤー(東京都港区)に出資。セレス <3696> [東証M]は8月、ビットコインサービスを提供するレジュプレス(東京都渋谷区)と資本業務提携した。

●大手銀行も取り込みへ

 このほかの企業でも成長分野を取り込もうと、ベンチャー発掘に向けた取り組みを積極化させている。

 ISID <4812> は、12年に「金融イノベーションビジネスカンファレンス」を国内で初めて開催するなどフィンテック分野に早くから着目。今年9月には住宅ローン借り換えアプリを提供しているMFS(東京都千代田区)に出資した。

 富士通 <6702> は8月、金融サービスのオープンイノベーションを加速させるコンソーシアム「ファイナンシャル・イノベーション・フォージャパン」を設立。アスカネット <2438> [東証M]やブレインP <3655> など約100社が参加している。

 金融機関では、みずほFG <8411> や三菱UFJ <8306> 、三井住友FG <8316> が相次いでベンチャー企業の発掘イベントを開催。三井住友FGは8月、米シリコンバレーでベンチャー企業の支援を手掛けるプラグアンドプレイと提携している。

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