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【特集】直撃Q&A 「中国経済と爆買いの行方」 中国アナリストに聞く

丸紅経済研究所 シニア・アナリスト 李 雪連 氏
人民元再切り下げの可能性
中国人の日本製品買い続く

丸紅経済研究所
シニア・アナリスト 李 雪連 氏

 中国の7~9月期国内総生産(GDP)は前年同期比6.9%増と約6年ぶりに7%を割り込んだ。8月の「中国ショック」を契機に世界経済は大きく揺れているが、その中国経済の今後の行方をどうみればよいのか。また、訪日中国人観光客の増加は続くのか。丸紅経済研究所のシニア・アナリスト、李雪連氏に聞いた。

●Q1、中国経済の今後の見通しをどうみていますか。

 李:15年の第4四半期の国内総生産(GDP)は、政策効果もあり7%台の成長に戻ると予想しています。15年の年間では、政府目標である7%前後の成長を見込んでいます。16年の成長見通しは26日から開催される「党中央委員会第5回全体会議<5中全会>」で2020年に向けた5カ年計画の成長率が、どう打ち出されるかによるでしょう。

 リスクシナリオは、年末から来年春まで経済が低迷することです。ただし、メインシナリオは年末に向けての回復です。後で振り返れば、『いまがボトム圏を脱出しつつある時期だった』ということになる可能性はあると思います。

●Q2、8月の人民元切り下げは世界経済に衝撃を与えました。今後の展開は?

 李:為替面では、日本円やアジア通貨が対ドルで下落した一方、人民元は割高な状態となっています。このため、中国の輸出企業は厳しい状況にあります。この夏に中国は人民元を4.5%切り下げました。ただ、適切な調整幅は10%程度ともみられており、あと5%前後の切り下げはあり得る状況です。

 中国は人民元が国際通貨基金(IMF)の準備通貨に採用されることを目標としていることもあり、年末にかけて目立った動きはないと思います。ただし、来年春に向けては、再度切り下げを実施する可能性もあると思います。

●Q3、中国人観光客による「爆買い」は続きそうですか。

 李:日本を訪れる中国人が急増している理由の要因には、人民元高・円安のため同じモノを買うにしても、日本で買った方が割安なことがあります。中国の富裕層は日本政府のビザ発給の緩和措置もあり、一段と日本を訪れやすくなりました。富裕層の訪日は今後も確実に増えると思います。焦点は中間層の動向で、為替次第の面もあります。ただし、いまぐらいの為替相場が続くのなら、日本に来る中国人観光客は高水準を維持すると思います。

 もうひとつの不透明要因は、日中間の政治が冷え込まないかです。しかし政治面も、来年夏ごろまでは落ち着いた状況が続くとみています。

 訪日する中国人は、メイド・イン・ジャパンの良いものを探して買っています。安全で安心な日本のモノの良さが分かった中国人は日本製品を買い続けると思います。中国人は、たとえ日本に来なくなったとしても、中国国内の電子商取引(EC)などを活用して日本製品を買い続けるのではないでしょうか。

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