【特集】有沢正一【日本株2】秋の相場観特集_03 /好業績を頼りに年末高を目指す
有沢正一氏
上海株式相場の暴落や人民元の切り下げなどを機に中国の景気減速に対する警戒感が強まって世界中のマーケットにリスクオフの流れが広がった。確かに今や米国に次ぐ経済大国である中国景気の減速は世界経済に与える影響は大きいだろうし、原油を始めとする商品市況の動向にも大きな影響を及ぼす。状況を見極めたいとして一時的にリスクオフの動きが強まったのもやむを得ない。
しかし、8月後半からの日経平均株価の大幅な下落に関しては、業績が好調な日本企業の実態を無視した“下げ過ぎ”との感を禁じ得ない。政策対応などによって中国景気に対する過度の悲観が後退すれば市場は徐々に落ち着きを取り戻していくだろう。
10月終盤からの9月中間期決算発表シーズンを控えて、市場の関心が海外要因などのマクロ材料から企業業績というミクロ面にシフトしそうなことは日本株にとっては追い風となる。中国景気減速の影響には注意を払う必要はあるが、やはり多くの企業において業績見通しの上方修正が期待されている。業績上方修正の発表や観測報道が相次ぐことで市場心理は大幅に好転するだろう。世界的な金融市場混乱の“悪役”とされてきた原油安も多くの日本企業にとっては利益押し上げ要因になる。
改造内閣の発足で国内の景気対策発動に対する期待も高まりそうだし、日銀の追加緩和に対する思惑も燻り続けている。年末に向けては、好調な企業業績を軸とした上昇相場に、適度な政策期待が彩りを添えることになりそうだ。
<プロフィール>
1981年大阪府立大学経済学部卒業。89年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2012年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。
編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ) 【秋の相場観】特集より