【特集】植木靖男【日本株2】秋の相場観特集_02 /日銀の金融緩和が最大のポイントに
植木靖男氏
9月下旬にかけて大波乱局面を迎えた株式市場もようやく戻りを試す段階に入った。9月30日以降の6連騰は買い転換した証とみている。今後、下押す局面があったとしてもそこは格好の押し目買いのタイミングとなろう。
もっとも、今後相場が戻るにしても強弱感の対立はつきまとう。弱気派からすれば日経平均1万7000円割れを見た以上、相場にひびが入ったことは否めず、この急落を埋め切るのは容易ではないと主張する。したがって、戻り相場に入ってもそれは中間反騰であり、1万9000円からどの程度上振れするかといった程度だろう。なによりも09年3月安値からの6年越しの上昇相場が終焉したとみれば、上値余地に否定的になるのは仕方がない。
しかし、強気派からみれば、高値から20%押し程度で下落が収束したとすれば、中期上昇トレンドは維持され戻り足も極めて強力であるとみる。条件次第では6月につけた高値2万868円更新も可能であるとの主張にも合理性が出てくる。
では、この条件とは何か。日銀による追加緩和策である。米国では利上げが先送りされ、場合によっては年明けまでずれ込むという見方も出てきた。この間に政府や日銀当局に動きがなければ円高が進行し、7~9月期GDPが弱かった場合にはなおさら許容される状況ではなくなる。おそらく、日銀は追加金融緩和に踏み切るとみられる。また、TPP(環太平洋経済連携協定)合意が、今後の構造改革進展を促すものとして、株式市場にもプラス材料となるとみている。そしてこれは海外投資家が日本買いを再開する契機ともなる。
物色対象としては陸・空・海と業容を広げる日本郵船<9101>、製品値上げで収益向上が見込まれる森永製菓<2201>、総合化学の雄、住友化学<4005>、そして個人投資家のシンボルで出資会社アリババの好調も追い風となるソフトバンクグループ<9984>に注目。
<プロフィール>
慶応義塾大学経済学部卒。日興証券(現SNBC日興証券)入社。情報部を経て株式本部スポークスマン。独立後、株式評論家としてテレビ、ラジオ、週刊誌さらに講演会などで活躍。的確な相場見通しと独自の銘柄観に定評がある。
編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ) 【秋の相場観】特集より