市場ニュース

戻る
 

【特集】近藤雅世【コモディティー】秋の相場観特集_02 /売られ過ぎの商品価格は米利上げと共に上昇に転じる

近藤雅世氏
コモディティー インテリジェンス・代表取締役社長 近藤雅世氏

 今年の年初から価格が上昇している商品価格は米国と日本の32銘柄のうち、大阪コメだけである。9月30日時点で大阪コメは年初から28.3%上昇しているが、上昇率の2位は1.5%下落したシカゴトウモロコシで、以下31銘柄の価格が下落している。最も大きく下落したのが、NYコーヒーの25%、次いで東京プラチナの24.5%である。

 貴金属も石油も穀物も押しなべて2014年以降下落基調にあった。ということは今後に期待できるという見方もできる。すでに頂点に達した感のある世界の株価は、今後米国の利上げが行われれば下落基調となるだろう。反対に、利上げを見込んで上昇していた米ドルで実際に利上げが実現すれば、今度はドル安になる可能性がある。それは8月24日の世界同時株安時に実証されている。

 ドルインデックスは年初から5.3%上昇しているが、8月24日は3.4%まで上昇幅が縮小して、一時的に円高ドル安で1ドル=116円になったことは記憶に新しい。実際に米国で利上げが行われれば同じことが起こるだろう。その時、ドル安による商品価格上昇のきっかけとなるものと思われる。通常利上げはFOMCで突然決定され、利上げによってドル高になるが、今回はイエレンFRB議長による度重なる事前予告でドルは大幅に買い越されている。

 こうしたドル買いは、株価の下落により一斉に売られると予測している。NY金価格は1100ドル~1150ドル、NY原油価格は1バレル=45ドルをはさんで横ばいとなっているが、金は中国とインドで現物の需要が旺盛になっており、原油は米国の原油生産が減少傾向になっている。売られ過ぎという商品価格は米国の利上げと共に上昇に転じるのではなかろうか。

<プロフィール>

1972年早稲田大学政経学部卒業後三菱商事入社。主に非鉄金属、貴金属分野に従事。アルミ地金、航空 機材料、建築材料、鉛亜鉛錫地金、貴金属取引を行い、日本で最初の『商品ファンド』の設定に携わり、また、プラチナでは世界最大手のトレーダーだった。南アの鉱山に何度も訪問している。三菱商事退社後商品先物取引会社2社役員、株式会社フィスコ コモディティーを経て、株式会社コモディティー インテリジェンス設立。代表取締役社長就任。日経CNBCテレビ・ラジオ日経出演・ビジネスブレークスルー大学院講師。ホームページ http://commi.cc/

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

株探からのお知らせ

    日経平均